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主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

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――いつまでも ずっと――<23>

エレベーターが止まる音がして、ワゴンがゴロゴロと音を立てながら近寄ってきた。
 部屋の前でその音が止むと、チャイムが鳴る。
「リチャード?」
「そうだ。涼太、準備は良いか?」
「……ああ」
 部屋を出て、二人でワゴンを押しながら、300527号室のドアの前に立つ。
 制服の帽子を目深に被り、胸元に手を当てて銃の位置を確認すると、深く息を吸った。
 リチャードは、俺に目配せをして、俺が頷くと部屋のチャイムを押した。
 カツカツと、ドアの向こう側から近付く靴音が、緊張を走らせる。
 あの軽快な足取り……。多分、吉岡だ。
「どちら様?」
 案の定、吉岡の声がした。
 リチャードは「ルームサービスの品をお届けに上がりました」と、平静を装い言うが、手元が震えていた。
「どうぞ」
 カチャリと鍵が開く音がして、扉が開く。
 目深に被っていた帽子のせいで、その表情は読み取れない。
 今にも心臓が飛び出しそうになるのを、必死に堪え、中に入った。
 広い室内に、見覚えのある人物が、テレビを眺めながら寛いでいる。
 高校の時とは別人の様でもあるが、魔女のような鼻先は変わらず、扱け落ちた頬に浮かべる笑みは、あの時と何ら変わらない。
(あれは……坂上? どうして一緒に居るんだ!?)
 思考が混乱する中、食事をテーブルの上へと飾り付けて行く。
 二人に悟られ無いように、目だけで隼人の姿を探した。
 すると、ベットに横になっている人が居る事に気が付く。
 しかし隼人とは髪型があまりにも違う。
 ウェーブの掛かったロングの茶髪は、一見すると、ロックバンドでもやっている人のようにも見える。
 でも先程した声は隼人のだった……。
 ふと、前に言っていた隼人の言葉を思い出す。
『伸ばすと多分、レゲェのオッサンみたくなるんじゃないか?』
 レゲェまでは行かなくても、くるくると綺麗なウェーブを認めている。
 天然パーマで、明るめの茶髪は地毛だった。間違い無い、あれが隼人だ。
 焦る気持ちを抑え、機会を伺う。
 気も漫ろに食器類を並べていたら、それに気が付いたリチャードがベットに視線を移す。
「お客様、あちらの方、先程も顔色が優れないようでしたが……もし具合が宜しく無いのでしたら、医者をお呼びしますが……」
 いかにも心配してます、と言った声を出して吉岡に言うと
「……さっきも言ったが、少し休めば楽になると言って寝ているだけだから、心配要らないよ」
 吉岡は舌打ちして、不機嫌そうに答えた。
 それは嘘だと直感で分かる。隼人はそんなにヤワじゃない。
 もし本当だったとしてら、そんなになる程、体力が無いと言う事だ。
 気持ちばかりが逸る。
 坂上は食事の匂いに誘われたのか、テーブルへと移動して来た。
 ジュウジュウと音を立てているステーキが盛ってある皿に、その尖った鼻先を近付けて、日本語で話す。
「うーん、旨そうだ……吉岡様、俺、先に食べたら駄目ですかね?」
 帽子の隙間から見えた坂上の姿は、やつれて窪んだ目が澱んでいる。
 こいつもきっと麻薬の常習者に違いない。
「……好きにするがいい。但し、隼人のは俺が食べさせるから、自分の分だけ先に避けておけ。全く、卑しい……」
 吉岡はそう日本語で言うと、冷たい視線を坂上に投げる。
 坂上は、その言葉と視線に恐縮したのか、項垂れていた。
 そして小声で「何だろう? 今日は随分機嫌が悪いなぁ……」と、呟いている。
 吉岡は、隼人が寝ているベットへと視線を移した。
 坂上を見る時とは、全く別の視線だ。
 心配しているような、優しい眼差し――。
 段々と嫌な予感は、確信へと変わって行く。



               ――to be continued――


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