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主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

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――いつまでも ずっと――<19>

俺は自宅のマンションに着くと、早速、飛行機の予約をしようとパソコンを立ち上げる。
 予約受付の最終手続きをしようとした時、携帯の着信音が鳴った。
『ハイ! 涼太。さっきの事だけど、邦人が三人、泊まっているそうだよ』
「本当か!? それでその三人の名前とかは……?」
『スズキ、タカハシ、サトウって人だったよ。全員男だ。しかもそいつらは一つの部屋を借りて泊まっている』
 俺はそれを聞いた時に、予感がした。
 日本でありふれている苗字を使うのは、偽名であるのだろうと。
 それに男三人が同じ部屋と言うのも奇妙だ。
「分かった、カール。悪いけれど、もう一つ頼まれてくれないか? そこに予約を入れて欲しい。しかも今回は偽名で……」
『ちょっと待て、涼太。最後まで話しを聞けよ』
「え?」
『そいつらが泊まるのは、今日までだ』
「あ……じゃあ、その後の消息は……」
 俺はせっかく掴んだ手掛かりを逃したと思い、愕然とする。
 するとカールは意に反して明るい声で
『安心しろ、涼太。さっきメールに書いた友達から連絡があったんだ。明日からそいつらは、そこに泊まるらしいよ』
「本当に!?」
『ああ、間違いないよ。だから涼太は、そのホテルで待機してた方が良いと思う』
「ありがとう、カール!! 何から何まで……、このお礼は必ず……」
『困った時は、お互い様だよ、涼太。オレは兄貴を失った時に、色々な人に助けられた。だから、今度は俺がそう言う人を助ける番なんだと思ってる。オレは仕事でそっちには行けないけれど、代わりに友達が助けになってくれると思う』
「カール……ありがとう、この恩は必ず返すよ」
『ふふ、それじゃ、オレのペットになるっていうはどう?』
 その冗談としか取れない、カールの発言に俺は戸惑った。
「は……? え……?」
『あははは! 冗談に決まってるだろ!』
「……だよな、びっくりさせるなよ、カール……」
『あんまりにも畏まってるからさ、つい、ね。君は真面目過ぎるんだよ。もう少し、肩の力を抜いたらいいよ』
「はは、そうだよな……」
『そこがまた魅力的ではあるんだけどね! 涼太はさ、何だか癒し系の動物っぽいんだよね。例えばそう、ゴマフアザラシの赤ちゃんとか? その可愛らしさで、オレの恋人に手を出したりしたら許さないからね?』
「へ? 何言ってるんだ、カール……アザラシってちょっと失礼じゃないか? それに手を出すも何も、何処に居るかも知らない君の恋人なんて、どうやったら……」
 カールの彼女は、可愛いものが好きなのか? 
 確かに、カールは青年と言うよりは、少年的な雰囲気がある。
 色白で長い睫毛や、眩しいほどの美しい金髪で、セミロングの髪型は彼女の好みなのか、などと思いながら話していると
『ははは! ごめんごめん。でも本当に君は可愛らしいからね、心配になるよ。今回そいつらが泊まるロイヤルプラザホテルのボーイ、リチャード・アグレィがオレの恋人。背が高くてスマートなハンサムだから、すぐに分かるよ。色々情報をくれたのも彼なんだ。そして君の手助けをしてくれるはずだ』
 カールのまたも驚き発言に、俺はどう答えて良いか分からず、黙っていた。
『涼太?』
「いや、うん、そうか、そうだったんだ……」
『隠さなくていいよ、君も同じだろ?』
 カールにそう言われ、ドキッと心臓が脈打った。
『君の義兄さん、その人が君の恋人なんだろ? 涼太は顔に出やすいみたいだからね、すぐに分かったよ』
「……そう、なのかな?」
『うん、そうだよ。だからリチャードに会って、君の恋人より好みだったとしても、くれぐれも、色目なんか使うなよ?』
「色目って……」
『君は自分で自覚してないみたいだけどね、相当可愛いよ? こっちだったら直ぐに喰われそうだ』
 くすくすと笑いながらカールは話す。
 時計を見ると、そろそろ飛行機の予約をしないと間に合わなくなる時間だった。
「悪い、カール……もうそろそろ飛行機の予約しないと、そっちに間に合わない」
『あ、そうか。ごめん涼太、それじゃまた何かあったら連絡するよ』
 カールに言い当てられ、ドキドキしつつ電話を切った。
 しかし、カールが連絡を入れてくれたお陰で、ブラジル行きの飛行機を予約しなくて済んだのは、とても有難かった。
 キャンセルしたら往復のキャンセル料をまるまる請求される所だった。
 手痛い出費を免れ、ほっと一息を吐き、パソコンの画面に目を落とすと、予約を終えた。
 それにしてもあちらはその趣向の人が多いとは聞いていたが、まさか知り合いが、と思うと何か不思議な感じがした。
 だがしかし、同時にカールに親近感を覚える。
 大っぴらな国とはいえ、やはり異端の目で見られるのは辛いだろうなと思った。
 それにしても、そんなに俺は男から見て可愛いのだろうか? 
 それともその趣向の人だけなのだろうか?
 前に柳瀬にも言われた事を思い出すが、自分では良く分からない。 
 はっきり言ってこの発言は、男の俺にとっては、何も嬉しくない。
 それどころか落ち込むだけだ。
 男として劣っている、と、言われてるようで……。

 吉岡さんも俺をそんな風に、情けない男として見ていたのだろうか……。
 そして俺を騙すのなんて、他愛も無い事だと思っていたのだろうか……。
 ――こんなの俺の邪推であって欲しい。
 でも、麻里は敵だと言った。
 それが本当なら、俺は一生、彼を許す事は出来ない……。
 ふと我に返り、時計を見ると、予約した飛行機の時間が迫っている。
 手荷物を持ち、駅までタクシーを拾うと駅に向かい、電車に飛び乗ると腰を落ち着けた。
 逸る気持ちを抑えつつ、空港へと向かう車窓から外を眺める。
 カールは、男三人が泊まっていると言っていた。
 一人が吉岡さん、そしてアジア系の男……。
 メールには二人で何処かに行ったと書いてあった。
 俺の推測が間違っていなければ、多分その極楽鳥の宿に一人、誰かは不明だが、そこに泊まっていて、合流したのだろう。
 ――その人物が、隼人だとしたら? 
 でも、疑問が残る。監視状態にある隼人一人を置いて、二人が行動するだろうか?
 そうしたら隼人は逃げ出すに違いない。
 でも、ここで老婆が言っていた言葉を思い出す。
 監禁されているという事は、何かで拘束され動く事が出来ない、という事では?
 そうだとしたら、一人で置いていっても、逃げ出す事は無理だろう。
 しかし、仮にもホテルだ。人が居ない訳じゃない。
 拘束した人物を一人で置いていくには、リスクが高すぎる。
 と、すると……。
 あの老婆は麻里が、隼人は命の危機に面していると告げた……。
 嫌な考えに辿り着いた。俺は眉間に皺を寄せると、拳に力を込める。
 丁度その時、電車のドアが開き、人が雪崩れるように降りて行った。
 そこで終点に着いたことに気が付いた俺は、慌てて荷物を持ち降りると、空港へと急ぎ足で向かった。
 搭乗手続きをして、飛行機に乗り込む。
 また、十時間程の長旅に備え、毛布に包まり、隼人に逢えるかも知れないと昂る気持ちと、不安で落ち着かない感情を抑え、眠りに就いた。 



               ――to be continued――


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