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主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

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――いつまでも ずっと――<12>

 
 ハサミを持ち出し封を開けると、中から吉岡さんの言う通り、隼人の財布が出てきた。
 何処かに落としたのだろうか、表面が少し汚れている。
 それと一緒に手紙も入っていた。
 隼人からの手紙だろうか? と、顔を見合わせ、緊張しながら封を開ける。
 すると、その手紙は隼人からではなく、拾ったと思われる主からのものだった。
 文章はプリントアウトされた用紙に、日本語で書かれている。

<<桜井様、この度は当ホテルをご利用頂きまして、真に有難う御座いました。
 この間、部屋の清掃を行なっておりましたら、ベットの隅の方に、これが落ちておりました。
 気が付くのが大変遅くなりまして、申し訳御座いませんでした。
 お手元に無事に届いていれば幸いです。
 それでは、またのご利用を、スタッフ一同、心待ちにしております。>>

 手紙を読み終え、封筒の後ろを確認してみると、ホテルの名前らしきものが記されていた。俺は吉岡さんに視線を移す。
「どうやら隼人は、このホテルに泊まっていたようですね……。今、調べてみます」
「そのようだね、頼むよ」
 パソコンの電源を入れ、住所を打ち込み、場所を検索する。
 俺の横で厳しい表情をしながら、吉岡さんは黙っていた。
「あ、出ました、此処みたいです。電話……くそ、あっちはまだ夜中だ……」
「仕方無い、向こうの夜が明けるまで待とう」
「ええ、そうですね……それじゃ、他に何が入っているか見てみます」
 テーブルに戻り、財布を再び調べる。
 吉岡さんはノートパソコンを鞄から取り出し、立ち上げて準備している。
 そのうちタタタと打ち込みする音が聞こえ、吉岡さんの手元を見ると、キーの打ち込みが格段に早かった。
 俺の打ち込みが遅くて、苛立たせてしまったかと落ち込む。
 その様子に気が付いたのか、吉岡さんは
「いや、そのホテル周辺の移動手段を調べていたんだ。電車、バス、飛行機の時刻表と、国境を超えた場合の、チェック機関とかね。パスポートは偽造でもしない限り、本人のだろうから。偽造は、素人がそうそう出来るもんじゃないし、足取りは掴めると思ってね」
 なんて頭の回転が速いのだろうと驚愕する。
 俺だったらその考えに行き着くまでに、朝になっていたかも知れない……。
 そんな風に思い、落ち込むが、落ち込んでばかりもいられない。
 俺は俺が出来る事をするしかないのだ。
 気を取り直し、財布の中を確認する。
 隼人名義のカード各種と、僅かな現金、後は吉岡さんの言った通りに名刺が数枚。
 カード入れの所をもう一度見ると、カードが入っている膨らみとは別に、何かが入っている。俺はそれを取り出した。
 それは、カードの形をした、USBメモリだった。
 俺の手にしているメモリを見た瞬間、吉岡さんの表情が強張った。
「蓬田君、悪いけどそれ、中を見ても良いかな?」
「あ、はい……」
 吉岡さんはそれを受け取ると、自分のパソコンに挿し込み、中を確認する。
 フォルダーを開けた途端、吉岡さんから血の気が引いていくのが分かった。
 俺には暗号のようで、何か全く分からない。ただ人物名らしきものが書いてあるのが確認出来ただけだ。
 暫くの沈黙の後、深い溜息が聞こえ、吉岡さんは重い口を開く。
「――蓬田君、信じられないが…………。これはうちの開発中の商品と、顧客リストだ。これを桜井君が持っていたとしたなら、やはり彼が情報を漏洩し、この横の数字は多分、見返りの金額……それを受け取っていたと考えられる……。残念だが……」
「そんなっ!!」
「しかし、しかしだよ……、事実がこうして目の前にあっても、私は信じられないんだ。もしかしたら、相手企業に何か弱みを握られて、仕方なく、かも……」
 そう言いながらも、吉岡さんの表情は曇っている。
 その表情から、隼人は確実に犯人だったと、推測する事が出来た。
「そんなの……」――嘘だ。
 俺は、後の言葉を飲み込んだ。
 事実が目の前にある以上、どういう経緯かは計り知れぬが、間違いは無いのだ。
 絶望感が押し寄せる。
 俯き、黙り込んでいると
「蓬田君。悪いけれど桜井君の部屋、見せて貰えるかな? まだ他に手掛かりになるものが有るかも知れない。これだけでは、彼が本当にスパイだったのか、未だ分からない。他の人を庇っている可能性だってある。気を落とさないでくれ」
 その言葉に励まされ、流れ落ちそうになる涙を堪えた。
「はい……。分かりました、こちらです」



                     ――to be continued――

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