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お話倉庫

主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

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――いつまでも ずっと――<7>

 
 帰国後、直ぐに日本全国のホテルに、それらしき人物が泊まっていないかも調べたが、特に情報は得られなかった。
 会話が出来無ければ話にならないと現地で学んだ俺は、早速、英会話教室に通った。
 仕事に通いながらのそれは、かなり苦労を伴ったものだったが、目的があるとすんなりと頭の中に入ってくる。
 俺は、短期間の間に、それらを吸収していった。
 その間も海外の情報はまめにチェックしていたが、海外での邦人の行方不明者はかなり居るらしく、事件、事故、死亡など何か特別な事でもない限りは、情報として流れることはまず無いと知った。
 もしかしたら日本にも帰って来てるかと、実家や知り合いの所にまめに連絡するようにしたり、ホテルなどの宿泊施設に問い合わせるなど、そちらの情報も欠かさないようにしていた。
 吉岡さんも、色々調べてくれて協力してくれているが、今の所、何も手掛かりは無い。
 また独り取り残されたマンションで、じりじりと焦燥感だけが募る中、片時も隼人の事を忘れる日など無かった。

 何度か有給を取り、現地に足を運ぶも、手掛かりになるような情報は得られず、徒労をしただけで帰ってくる、と言うことを繰り返していた。
 ある日、隼人が仕事を辞めてしまった、連絡も無いと儀父母から連絡があったが、俺は分からないとしか答えようが無く、罪悪感が胸の中に重くのしかかる。
 麻里と晴を失って、一人息子となってしまった隼人。
 その隼人までが消息不明となれば、儀父母の心境を察するに容易い事だった。
 この間、義母が隼人の事で体調を崩してしまい、入院したと義父から連絡があった。
 見舞いに行くと、儀父母はかなりやつれて、瞳には悲しみが満ち溢れていた。
『お大事に……気を落とさないで……。俺も心当たりを当たってみますから……』
 俺が掛けられる言葉は、それが精一杯だった。
 しかし、日々だけが、ただ残酷に、頭上を通り過ぎて行く。
 やがて一年と言う月日が、経とうとしていた。

 その一年の間、必死に探した。それこそ、全国のホテルの名前と、電話番号が暗記出来てしまう程に……。
 しかし、隼人の捜索は困難を極めていた。
 手掛かりは、海外のホテルに泊まった4日間のみで、それからの消息は全く持って分からなかった。
 今日もパソコンを開ける。それがもう日課になっていた。
 一通りの海外ニュースに目を通し、メールチェックを済ませると、仕事に出かける。
 諦めた訳じゃない。しかし、仕事をしなければ収入が無くなる。
 現地で働くことも考え、登録を行なったが、向こうも不況でやはり現地の人が優先され、なかなか職も見付からなかった。
 あったとしても、過酷な労働条件で、殆どの時間を労働に費やす事になる。
 それでは意味が全く無い。
 それに万が一、隼人が日本に帰って来た場合、俺が日本に居なかったら隼人の行く場所が無くなる。
 実家に戻るのは隼人にとって、精神的に負担が掛かるだろう。
 そうしたらまた、消息を絶ってしまうかも知れない。
 ――それだけは絶対に避けたい。
 英会話教室に通っているうちに、そこの先生達と仲良くなったりして、格安のツアーの自由プランなどを教えて貰った。これはとても助かった。
 正直、まともにチケットを取っていたら、隼人を探す所か、生活まで危うくなる。
 それで現地に赴き、何度か行くうちに、訛りが強い英語も理解出来るようになり、顔見知りになる人物も増えた。
 幾人かは俺に協力してくれるようになり、今もメールのやり取りをしている。
 その人達の伝(つて)を使って、現地の駅や店などに張り紙をさせて貰い、情報収集に労を費やした。
 幾度か隼人らしき人が働いているとか、見かけたとか情報を貰い、期待に胸を膨らませ行ってみるが、全部人違いで落胆を繰り返す。

 諦めの心境になるのを、必死で奮い立たせるという日々。
 吉岡さんは、何度か海外に行くからとメールをくれたり、常に困ったことは無いかと気にかけてくれていた。
 根(こん)ばかり詰めても身体に良くないと、俺を飲みに誘ってくれたりもしていた。
 隼人が言っていた通り、あの歳で部長に抜擢されるには、周りへの配慮もきちんと出来る人物だからだと納得する。
 隼人が尊敬していたのも分かる気がした。
 しかし、麻里を亡くしてから、飲み屋街に通っていた日々を思い出すと、とてもじゃないけれど、行く気にはなれなかった。
 またあの悪夢の日々に戻ってしまいそうで、怖かったからだ。
 それに俺は、アルコール類が異常に弱いから、酔いが酷くなって、吉岡さんに迷惑を掛けてしまう可能性が高い。
 それを理由にずっと断ってきた。
 だが、今日は吉岡さんから、思いがけないメールを貰う。
 俺は、そのメールを何度も読み返す。
 心拍数が上がり、気が遠くなりそうになった。
 隼人が持っていたはずの財布らしき物が会社に届いた、という知らせだった。




                    ――to be continued――

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