FC2ブログ

お話倉庫

主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

このページのトップへ

――いつまでも ずっと――<6>

 
 次の日、会社に母親が重病で見つかり、先が長くないと偽りの電話を入れ、二週間の有給休暇を取る事が出来た俺は、パスポートを申請しに行った。
 その足で銀行に行くと、海外でも使えるクレジットカードを発行してもらい、自宅に戻るとパソコンを立ち上げ、飛行機の予約を行なった。
 そのまま荷物を手にして、空港へと向かう途中、隼人の会社に電話し、吉岡さんに代わって貰うと泊まっていたと言うホテルの電話番号と住所、名前を聞き出し、それをメモする。
 その時に、吉岡さんの携帯番号も教えて貰い、直に電話しても良いと言われ、そのホテルに泊まれるようにも手配してくれた。
 彼は本当に隼人の事を心配してる様子で、とても協力的で頼もしい存在だと思った。
 予約した飛行機に乗り込むと一息吐く。
 忙しくしていれば何も考えずに済むが、腰を落ち着けると、不安な気持ちに押し潰されそうになる。
 このまま、もう逢えなくなるのかも知れないと、ネガティブな思考が脳を掠め、身震いがした。
 頭を振り、その考えを振り払うと、現地に着いた時のために備え、用意した観光雑誌と地図を広げ、食い入るように見つめた。
 シュミレージョンしてみようと試みるも、広すぎて何処をどう探せば良いのか戸惑うばかりで、不安だけが胸中に広がる。
 隼人が行方不明になってから、ろくに睡眠を取っていなかったせいだろう、気が付けば俺はフライトの最中、ずっと眠りに落ちていた。

 機内にアナウンスが流れ、はっと目を覚ます。
 約10時間のフライトを終え、空港に降り立つが、右を見ても左を見ても、解らない言語が氾濫する。
 戸惑いながら電子辞書を手にして単語を拾いながら調べ上げていく。
 その作業がもどかしくて、自分に苛立ちを覚えた。
 やっとホテルの場所を確認することが出来て、タクシーに乗り込む。
 電子辞書に予め打ち込んでおいた言語を、音声で再生し運転手に聞かせると「OK!」と、車を走らせた。
 通じたみたいだと思い、ほっと胸を撫で下ろす。
 約10分すると目的の地に着く。
 タクシーを降り立ち、エントランスに入るとまた文を打ち込み、翻訳をかけてからフロントにそれを見せた。
 フロントの人は俺が英語を話せない事を理解したのだろう、日本語が話せるスタッフと交代してくれた。
 しかし、隼人に関しての情報は、ここに四日滞在していたと言うことだけで、その他は何も判らなかった。
 失望感が襲い掛かる。解ってはいた筈なのに……。
 それでも、こんな初っ端から諦める訳には行かない。
 このホテルに、吉岡さんは予約を入れてくれていたが、値段が張るため、二週間滞在するには厳しかった。
 一日だけここに泊まる事にして、他のホテルを紹介してもらう事にした。
 チェックインを済ませると、俺は取り合えずそのまま、ベットに雪崩れ込むように横になる。
 気が張っていて、自分でも気が付かなかった疲労感が、一気に襲う。
 暫く枕に顔を埋めていたが、日本に居る時から、まともな食事を摂っていない事に気が付いた。
 いつも何かあれば、俺の脳は空腹を感じなくなるようだ。
 栄養が足りなければ考える力も衰える。それに体力だって低下するだろう。
 そんな事では隼人を探せる訳が無いと、自分を叱咤し、取り合えず何でも良いから腹に収めようとホテルを出た。
 近くに見えたファーストフード店に入り、適当にメニューを指差し注文すると、時間を確かめようと思い、携帯を取り出すが、アンテナが圏外になっていて使えなかった。
 携帯電話にまで気が回らなかった。
 もし、隼人が何らかの連絡を入れたとしても、これでは全く意味が無い。
 軽く舌打ちして、携帯を胸ポケットに仕舞うと、注文した品物が出来上がり、俺はそれを持って適当に席に座ると、ろくに噛みもしないで、飲み物で流し込むように、食事を済ませる。
 食事とは言い難い食事を終え、ホテルに戻るとまた地図と観光雑誌を広げた。

 慣れない土地、慣れない言語。
 動き回れる範囲も限定され、あっという間に10日が過ぎてしまった。
 これと言って手掛かりなるような情報も得られず、喪失感を抱いて帰国準備をする。
 ホテルのロビーからタクシーを拾うと、空港までと告げて窓の外を見た。
 隼人は、何処に行ってしまったのか――。
 自分の不甲斐なさに悔し涙が溢れそうになる。
(なんて情けないんだ俺は……っ! 隼人を見つけると決意したのに!! また必ず、お前を探しに来るから!! 頼む、無事で居てくれ)
 飛行機に乗り込むと、雲の上の景色を眺めながら、そう決意した。



                      ――to be continued――

ご訪問&拍手、ありがとうございます!
不定期ですが、頑張って更新しますね^^
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

にほんブログ村 小説ブログ BL長編小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト
[PR]

[PR]

このページのトップへ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。