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主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

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――隣人がおかしな件について――<10>

 五分ほど走った所で、海里の住むアパートが見える。
 定位置に駐車すると、青葉の部屋から薄らと灯が見えた。
 よし、アイツ居るな。
 さっさとこれ渡して、このモヤモヤした気持ちを、スッキリさせよう。
 ちゃんと謝ったら、もう、こんな苦しくなくなるはずだ。
 車から降り、自宅に戻ってから着替えを済ませる。すぐさま車に戻り、日本酒が入った袋を取り出してから隣の部屋の前に立つと、チャイムを鳴らす。
 中から「はい」と返事が聞こえた後、青葉が扉を開けた。
「誰かと思ったら、珍しいお客さんだね?」
 青葉の言葉尻がいつもの茶化し口調だったので、海里はつい、反抗的になってしまう。
「今朝も会っただろうが」
「いや、そうだけど……。あ、靴、取りに来た? ごめん、渡そうとは思ってたんだけど」
 そう言われてハッと気が付く。
「あ、そうだ。靴、忘れて行ったんだっけ」
「え? 取りに来たんじゃないの?」
 玄関でゴソゴソと、海里の靴を用意していた青葉は、ふと顔を上げる。
 海里は青葉から視線を外すと、手にしていた日本酒が入った袋を青葉の前に突きつける。
「ん!」
「……何?」
「良いから受け取れよ!」
「急にどうした? 君が何かくれるなんて、明日吹雪にでもならなきゃ良いけど……」
 真剣な表情で考え込む青葉に、海里は突っ込みを入れる。
「アホか!! このクソ暑いのに、雪なんか降るかっての!! 良いから受け取れよ!」
 なおもグイグイと胸元に袋を押し付けると、青葉は柔らかい笑みを浮かべ受け取る。
 その仕草に、海里はなぜか心拍数が上がり、思わず目を背けた。
「開けていい?」
「どうぞ、ご自由に」
 嬉しそうな表情を浮かべ、青葉は袋の中身を取り出す。
「おー、日本酒か。丁度呑みたいと思ってたんだ。嬉しいよ」
「そっか、そりゃ良かった。ところでタイヤの事だけど……」
「タイヤ……? ああ、そう言えばそんな事もあったね?」
「今月はちょっと厳しいから、来月でいいか?」
「……? 何が?」
「いや、立て替えてくれたんだろう?」
 青葉は顎に手を掛け、考え込む。それを不審に思い、海里は声を掛けた。
「あれ、アンタじゃないのかよ?」
「いや、俺だけど……。君に何して貰おうかと思って考えてた」
 青葉の言葉を聞き、背筋が凍りつく。
「ちょっと待て! 金払うって言ってるだろ!」
「ん~別に要らないんだけどね? 君の誠意があれば」
 ニッコリと微笑む青葉の黒髪が揺れると、海里はふと目を背けた。直視すると、どうしても目が泳いでしまう。
 それの原因が分らず、タイヤの話に集中する事にした。
 あのタイヤ、相当高いやつだぞ?
 ってか誠意って何だよ!? まさか……。
 海里は青ざめると、頭を横に振る。
 前も勘違いして、恥ずかしい思いしたからな……。
 取りあえず酒渡したし、金はどうしたって来月になるし、それまでに聞けばいいか。 よし、今日はこれで引き上げよう。
 そう思い、青葉を見上げる。
「じゃ、俺はこれで」
「え、ちょっと待って? 一緒に呑むんじゃないの?」
「いや、それ、一応お詫びの品だから」
「……お詫び?」
「その……知らなかったとは言え、色々アンタに迷惑掛けたみたいだから」
「何だ、そんな事か。気にしなくても良かったのに」
「アンタが気にしなくても、俺が気にするの!! という訳で、じゃ!」
 シュタっと手を挙げ海里が背を向けると、青葉はその腕を掴む。
「いやいや。お詫びしたいて言うなら、一緒に呑もうよ」
「ちょ、気にしなくて良いって言ったじゃん!? 放せよ!」
「いや、やっぱり気にして?」
「いやいや、もう気にしないから! すんませんでした!! はい、謝ったし、終了!!」
 あわあわとしながら言い放つ海里に、青葉はまたも苦しそうに肩を揺らし、笑いを堪えている。
 やっぱこいつ、俺をおもちゃにして遊んでるだけだって!!
 今朝のは幻!! 寝不足で幻覚見たんだ、きっと!!
「ちょ、アンタなぁ!! いい加減、俺で遊ぶのヤメろ!!」
「いや、まだ足りないなぁ。よっ、と」
 腕を引き寄せられたかと思うと、またも荷物のように抱えられ、海里はジタバタともがく。
「また!! どうして、そんな嫌がらせばっかりっ!!」
「好きな子ほど苛めたくなるって言うのは、本当だね」
「バカ言ってるんじゃねぇっての!! どうせ、からかってるだけだろ、放せっ!!」
「そう見える?」
「そうとしか見えないって!」
「そうか~。なら俺が本気って事、教えてあげようか?」
 ニヤリと笑みを浮かべる青葉に、海里は青ざめる。
「教えるって……何する気だ!?」
「さぁ? 何だろうね?」
「い、嫌だぁぁぁぁっ!! は・な・せぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
 またも海里の雄たけび虚しく、青葉の部屋の扉は閉められた。

 しまった! 油断したっ!!
 今度こそ、マジでヤバイんじゃないか!?
 出て行く前の最後の思い出に、えっちな事しようなんて言われちゃ、昇天するから!!
 婆ちゃんより早く、天国の扉、開けちゃうだろが!! やっぱ、無理無理!! 
 どう考えても『お友達』にはなれないよ! 婆ぁーちゃーんっ!!
 バタバタと足掻いてみせるが、またも靴を放られ、今度はまるで父親が子供を抱えるような形で、卓袱台の前に座らされる。
「……だから、ナニコレ」
「ん? こうでもしないと、君は逃げてしまうだろう?」
「当たり前だろ!! 貞操の危機って時に、逃げない奴なんか居るかよっ!!」
 必死な形相の海里に、青葉は大声で笑う。
「な、何だよ!! だって本気でつったら、そんな話だろが!!」
「そっか~、君、そんなにヤル気満々だったんだ?」
 何だ? 違うのかよ!?
 何だよ、こいつ、ホント紛らわしい!!
 うあ~~~~~っ、また恥掻いたっ!!
 海里は顔面を手で覆うと、身悶えしながらドタドタと地団駄を踏む。
 青葉は海里の腹を抱えながら、ずっと笑っていた。
「いやもう、本当に面白いわ。こんなに笑ったの久し振りだから、腹が痛くなるな」
「あ、アンタが勘違いさせるような事ばっかり言うからだろが!!」
「ごめんごめん、まさかそんな風に思っているとは思わなくてね」
「いや、思ってただろ? 絶対、わざとだろ!!」
「いや? 俺は君と話がしたいと思っただけで。どんなに俺が君を想ってるかって、とくとくと話してやろうと思ってただけだよ?」
 それを聞いて、海里はまた恥ずかしくなる。
 あーもう、何なんだよ!!
 全部、俺の勘違いかよっ!?
 って、本当はこいつ、俺の事どう思ってるんだ? 
 婆ちゃんが言ってた通り、弟みたいに思ってるのか?
 一度、ちゃんと訊く必要があるな……。
 海里は意を決すると、もがくのを止める。
「分った、逃げないから。離れろ?」
「……絶対?」
 青葉が不安そうに細い声を出すものだから、海里は驚きで心拍数が上がる。
「な、何、妙な声出してるんだよ!? まさかやっぱ変な事しようとか言うんじゃないよな!? だったら帰……」
 振り向き様に見上げると、青葉と目が合う。その切れ長の黒い瞳が、切なげに揺れていた。
 途端に胸が締め付けられるような感覚と共に、心拍数が更に上がる。
 海里はまたも首を捻った。 
 ……何だろう、動悸ってやつかな?
 寝不足で心臓に負担掛かってるのかなぁ……?
 一回、病院で診てもらったほうが良いかも……。
 途端に大人しくなった海里に、青葉は声を掛ける。
「どうした?」
「いや、何でも……それより離せよ。マジ暑苦しいし。お陰で動悸まで出る始末だよ」
「動悸? 何、君、心臓が悪かったの?」
 心配そうに声を掛けられ、海里は首を横に振る。
「いや? きっと寝不足で、心臓に負担が掛かったんだろうと思う。全部アンタが悪いんだからな! 俺、今までずっと元気だったのに……」
 落ち込む海里に、青葉はなぜか嬉しそうに微笑むと
「そうか。それは大変だ」
「アンタなぁ、人事だと思って……」
 と、途端にくるりと向きを変えられ、海里は青葉の胸板に顔を埋められた。
「ぶっ!? 何するんだ!!」
「これじゃ、どう? 動悸は?」
 青葉は何か香水でも付けているのだろうか、海里の鼻元を心地良い香が掠めると、更に動悸は悪化する。心音が耳にまで木霊するようだ。
「何か、さっきよりも悪くなったような……?」
「そうか、分ったよ」
 そう言って青葉は海里を離すと、上機嫌で台所へと向かった。
「……分ったって、何が!? ハッキリ言えよ!! 俺、どっか悪いのか?」
 青葉はグラスを持ち出すと、海里から貰った日本酒を注ぎ
「そうだな、まずは呑みながら話そう?」
「いや、何、呑気な事言ってるんだよ!? もし心臓が悪いんだったら、呑んだら駄目だろが!!」
「それじゃ、飯でも食べる?」
「いや、飯もどうでも良いだろ!! 早く教えろよ!!」
 台所から魚の焼ける匂いが漂うと、海里の言葉とは裏腹にまた腹が勢いよく、ぐるると音を立てる。
「……どうやら、腹はそうは言ってないみたいだけどね?」
 クスクスと笑い青葉は立ち上がると、また台所へと向かった。
「いや、いいから、本当に。それより、気になるだろ? 何なんだよ?」
「食事はちゃんと摂ってる? 栄養バランスが悪いと、動悸が起きる事もあるよ?」
 青葉はそう言って、またも大量の品数がある料理を運んで来る。
 大家の話によると青葉は超一流大学出らしいから、医学の知識もあるのかも、と思う。
「そうなのか……それにしても、相変わらず凄い量だな? アンタの方こそ、大丈夫なのかよ? こんなに食って……」
「ん? 君の好みが分らないからね。どういうものが好きなのかと思って」
「……へ? これ全部、アンタが食うんじゃないのかよ?」
「まさか。幾らなんでも、こんなの一人では食べきれないよ」
「って事は……これ、俺のために?」
「ん~、そう言うことになるかな? ま、俺が出来る料理、この程度だけどね?」
 なんだ、大食漢じゃなかったんだ?
 それにしても、これ、作り置きしてたのかな? 俺と食べるために?
 意外にマメマメしいんだな、この人……。
 それに結構、レパートリーあるし。
 って、オイ!! 思いっきり食べ物に釣られてるじゃん、俺!!

 またも頭を抱え、思いっきり首を横に振っていると、青葉は蹲り苦しそうに笑っている。
「わ、笑ってんじゃねーよ!!」
「いや、だって……一度、君の脳内見てみたいよ。一人で百面相した挙句、ムンクの叫びみたいになって……」
 思い出したのだろうか、青葉は海里の顔を見ると息を噴出し、大声で笑う。
「ああ、もう! そうやってずっと笑ってろ!!」
 海里はヤケになり、卓袱台に置かれた厚焼き玉子に箸を入れると、丸ごと口の中に放る。
 ……。
 …………。
 うまーーーーーーーーっ!! 
 何だ、これ!? 俺の味覚に、どストライクなんですけど!?
 えっ、何だ? 好きな味付けまで知ってんの? この人!?
 ……いや、そんなバカな! たまたまだって!!
 そう思い、今度は野菜炒めに箸を伸ばし、一口頬張った。シャキシャキとした歯応えがあり、唾液が口内に充満する。
 …………。
 ちょっと待て。
 何で、こんな絶妙な訳!? 
 まさか、他のも……?
 次々に夢中で味見していくうちに、気が付けば満腹になっていた。
 海里は深い溜息をつくと、箸を置く。
「……なぁ」
 海里の食事風景を眺めながら、一緒につまんでいた青葉も箸を休める。
「ん? どうした? 不味かったか?」
「いや、そんなんじゃないけど……。料理って、婆ちゃんに習ったのか?」
「習ったと言うよりは、覚えたの方が正解かな。妙子さんは料理上手な人だったけど、昔の人だから『男子、厨房に入るべからず』で、入れては貰えなかったから。自己流のアレンジもあるかな」
「って事は、婆ちゃんとは、また違うんだ?」
「ん~そうかな? 最近、食べてないから、忘れちゃったけど。違うんじゃないかな?」
「……そっか」
 一通り訊き終えると、しげしげと卓袱台の上の料理を眺めた。
 俺も婆ちゃんっ子で育ったせいか? 
 なんでこんなに味覚が合うんだろう……?
 愛梨さんの時は、どこかで食べたような……言っちゃ悪いけど、なんかコンビニ弁当と大差ないような感じだったのに、この人のはパーフェクトだ。
 懐かしいような、それでいて、うちの婆ちゃんや母ちゃんとは違う味付けだし……。
 料理なんて、口に入れば皆、同じかと思ってたけど……一体、何処にこんな差があるんだろう? 隠し味とかかな……?
 暫くの間、じっと見ていたせいか、青葉は不思議そうに首を傾げた後
「何? 気に入ってくれたの?」
 目を細め、嬉しそうに尋ねる。
「べ、別にっ!! 俺は料理なんかしないから、どうなんだろうと思っただけで!!」
「ふーん?」
 ニコニコと上機嫌な様子で眺められ、海里は目を背けた。
 あーもう、絶対からかう気だよ。全部、味見したくせにって……。
 でも、もう少しの辛抱だ。来週、婆ちゃんにハッキリ断ったら、コイツは出て行く。
 そうしたらもう、こうやってからかわれる事も無くなるんだ……。
 そう考えていると今までの動悸は治まったが、今度は胸が締め付けられるように痛くなる。
「……痛って」
「どうした? 食べ過ぎか? 腹、痛くなったのか?」
「いや……。ちょっと胸が……。考え事してたら、なんか痛くなって」
 その言葉を聞くと、青葉は何かを考え込んでいる様子だった。
 だが、一人納得したように頷いた後、海里と視線を合わせる。 
「……大丈夫か? ちょっと腕、出してみろ」
「何で?」
「いいから出して。脈、測ってやるから」
 真剣な表情で青葉が言うと、海里は心配になり、言う通りにした。
 青葉は海里の手首にそっと触れると、時計と睨み合いを始める。
 触れられた所が熱っぽく感じると、また動悸が始まってしまった。
 海里は不可解な現象に戸惑いを覚え、不安になる。
「……なんか、おかしいか?」
「んー、ちょっと頻脈だね……」
「ひんみゃく……? 何それ?」
「ん、ちょっと脈が速くなってるってこと。で、症状はいつから?」
「そうだな、ここ最近……」
「眠ってる時は? 息苦しくて起きるとかは?」
「それは無いかな……」
「で、胸が痛くなる時は? 激しい運動した後とか? 吐き気とかはある?」
「いや、別に……。なんか、アンタの事考えたりすると、急に痛くなったりするんだよ」
「…………はい?」
「だから……アンタが――」
 嬉しそうに微笑む青葉が視界に入り、そこでハッと海里は気が付き、慌てふためく。
「いや、今の嘘!! 嘘だからっ!!」
「……ふーん? 嘘、ねぇ?」
「そうそう、階段、駆け上ったりすると、痛くなる! うん!!」
「ふーん? へぇー?」
「ちょ、聞いてないだろ!」
「で、どうしたら始まるのかなぁ~? その動悸は」
「いや、もう治った!! 治ったからっ!!」
「もしかして、こんな事されると、動悸が酷くなるんじゃない?」
 腕を引き寄せられ青葉の胸板に密着させられると、またも好い香がして、心臓が爆発しそうなほどに鳴り響く。
「ぅわっ! な、なな、何するんだよっ!!」
「ほらね? 凄い速さで伝わって来るけど? 顔も真っ赤だし? あ~大変だ、これはかなり重症だな~」 
「アンタがいきなり引っ張るからだろが!! びっくりしただけだって!!」
「ふーん……? 本当にそうかな?」
 青葉の顔が間近にあり、更に鼓動が激しくなる。その端麗な唇が目に留まると、何故かくらりと眩暈が起きた。頭を振っていると、青葉は「大丈夫か?」と口を開いた。
 そこから覗く白い歯と、赤い舌のコントラストを見ただけで、息が荒くなる。
 う、嘘だ!! 有り得ないって!!
 何だ、これ!! 俺、頭おかしくなったのか!?
 まさかコイツを……? 
 いやっ!! 違う違う違うっ!!
 これはあれだ! 前にテレビで見た、驚いたり怖かったりしてドキドキしたのを、好きだと勘違いするってやつだ!!
 それに婆ちゃんから、こいつの可哀想な過去話とか、聞かされたからだって!!
 俺は同情してるだけだ!! 
 明日、愛梨さんに逢えば分る、絶対!!
 海里は全力で青葉を跳ね除けると、脱兎の如く駆け出し、自分の部屋へと逃げ帰った。 

 まだ心臓の高鳴りが収まらず、海里は混乱したままベットに潜り込み、頭を抱える。
 俺は同情してるだけだ!! ほんでもって、何か色々動揺してるだけだっ!!
 アイツがおちょくるから、動揺するんだって!! 
 あーーーーーーっ、もう、マジでムカツクっ!!
 寝不足だ、ね・ぶ・そ・くっ!!
 だから色々おかしくなるんだって!!
 寝る!! もう寝るんだ、余計な事、考えるな!!
 海里は必死に自分に言い聞かせると、ごそごそとベットから這い出し着替えをする。
 布団を抱き枕代わりにして抱え込むと、深い溜息をついた。
 さぁー、もう寝るぞ! 寝るったら寝る!! 明日は愛梨さんとデートなんだから……。
 羊がいーっぴき、羊がにーひき、羊がさーん……って、ガキか、俺は!?
 あ、そうだ。愛梨さんとのデート、シュミレーションしてみようか?
 そしたらきっとワクワクしてくるし、そのうち眠くなる、うん。
 またもベットから這い出すと、以前買っておいたガイドブックを手にして再び寝転ぶ。
 ページを捲りながら、デートを想定し思考を廻らせた。
 お! こんな乗り物もあるんだ? へぇー、楽しそうだな。
 ああ、こんなのもあるんだ? ん~これは、ちょっと遠慮した方が良いかな?
 好き嫌いあるからなぁ、愛梨さんに訊いてからだな。
 ……アイツなら両手挙げて喜びそうだけど。
 ん? ホラーハウスか。よし、これは鉄板だな!
 怖がる愛梨さんの手を握ったりして……。って、さっきの応用かよ!?
 まぁ、でも使えるな。良い事、思い出した。
 ……アイツだったら、逆に脅かして来るな、絶対。んで、また弄って遊ぶんだろうなぁ。
 そこで海里はハッとして、枕を壁に投げつける。ボフンと枕が音を立て、跳ね返ってきた。
 ――なんでアイツとの事、想定してんの、俺!!
 関係ないだろ!!
 あーーーー、せっかく楽しくなってたのに、台無しじゃん!!
 って、バカか、俺は……。一人で何してるんだ!?
 なんか、疲れた……。もう寝よう……。
 海里はげんなりとしながら、投げつけた枕を拾いに行くと、壁からコンコンとノック音が聞こえる。
 うげっ!! 今の聞こえたのかな? 木造だから響くんだよな……。
 ああ、もう、何してんだよ……ホント。
 一応、謝っておいた方が良いよな……?
「……煩くして悪かったな! もう寝るから」
 すると予想外に、青葉の優しげなバス・バリトンが聞こえる。
「おやすみ」
 その声を聞いた途端、また心拍数が跳ね上がる。海里は首を横に振ると、布団に潜り込んだ。
 違うから。これは動悸だから。
 やっぱ寝不足で、心臓おかしくなったんだ。
 もう寝よう……。明日の事だけ考えよう……。
 身を屈め、まるで母親の胎内にいる赤ん坊のように、膝を抱える。
 悶々としているうちに、いつしか海里は深い眠りに誘われて行った。



               ――to be continued――


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