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お話倉庫

主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

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――時空を超えて――<11>R-15

 それを不思議に思った尚史は、虹輝に問う。
「……どうした? 何か面白い話だったか?」
 虹輝は首を横に振る。更に疑問に駆られた尚志は、じっと虹輝を見つめた。
「兄貴、変わってないよね、昔から」
 虹輝の言葉の意味が分らず、尚志は聞き返す。
「え? 何が?」
 フッと虹輝が笑った気がして、尚史は首を傾げた。
「いや、ちょっと……ね」
 虹輝が何を言わんとしているのか、尚史には分らなかった。
 ボケっと虹輝を見つめていると、じっと見据えられて、またも心臓が高鳴る。
 目を泳がせていると、虹輝は伏目がちに尚史の顔を覗き込む。
「あのさ、兄貴はさ、生まれ変わりって信じる?」
「――えっ? ん~、魂があるって事は、そういうのもあるんじゃないか?」
(そう言えば、話の中にも出てきたな。僕が術師だったとか何とかって……。なんかそんな事に興味でもあるのかな?)
 突然、話題を変えられたが、虹輝が自分の話に興味を示してくれた事が嬉しかった。
「生まれ変わりが、どうかした?」
「ん、兄貴は信じてるんだよね、そういう話」
 意味ありげに微笑む虹輝に、尚史はまたも首を傾げた。
「まあ、信じてはいるけど……。友達とかの話でそういうのあったとか?」
 馬鹿にはしないという約束で話したものの、やはり不安が募る。尚史は手にいやな汗が滲んでくるのを感じていた。
 ところが、虹輝は思いもよらない言葉を発した。
「――鈍いな、尚史は。これだけ言っても分からない?」
少しがっかりした様子でに尚史を見下ろす。尚史はそれよりも『兄貴』から『尚史』に急に名を変えられて呼ばれ、意味が分からず、ぐるぐると考えを廻らせていた。
虹輝はそんな尚史を見て、諦めたように溜息を吐くと
「覚えててくれたんだ。藤吉だった頃の、俺の事」
 尚志は、混乱した。虹輝が何を言っているのか、必死に理解しようと考えを廻らせていると、虹輝の顔が目前にあり、ハッとして見上げた。
「あの時はありがとう。約束守りに来たよ、俺」
 いきなりの虹輝の発言と、目の前に綺麗な顔立ちがあった事もあり、尚志は動揺して、座っていた椅子から転げ落ちた。
「うわっ!」
 派手に転んで尻もちをつくと、虹輝は慌てて駆け寄ってきた。
「えっ、ちょ、尚史! 大丈夫!?」
 虹輝に抱きかかえられ、更に尚志は動揺し、心臓が今にも飛び出しそうになった。
 さすがに密着した状態では、心臓の鼓動の速さが伝わってしまう。あわあわとしながら、尚志は虹輝から離れようとして、その手を振り払おうと必死にもがいていると、虹輝はそれを阻止するかの如くぎゅっと尚史を抱きしめ、身動きが取れなくなってしまった。
「バ、バカ!! 遊んでる場合じゃ……!!」
「遊んでなんかいない。ずっと待ってた、尚史が話してくれるの」
「虹輝……お前?」
「忘れてると思ってた。だから俺も知らなかった事にしようとしたけど……そんなの無理だよ」
 虹輝は嬉しそうな瞳で、尚史をじっと見据える。吐息が間近で感じられる距離に、尚史はどうする事も出来ず、上がって行く体温が虹輝に伝わらないかと不安になる。
 なおもバタバタと足掻いてみたが、尚史と虹輝の力の差は歴然であり、仕方なく諦め、尚史は必死に自分を制した。
(おおお、落ち着け! 仮にだ、虹輝が藤吉だったとして、覚えていてくれた事が嬉しくて、抱きついてるだけだ! 頼むから落ち着いてくれっ)
だがそんな尚史の努力も虚しく、吐息交じりの虹輝の声が耳元を擽ると、尚史の心臓は今にも飛び出しそうになる。
「これから言う事、そのまま聞いて?」
「っひゃ! な、なな、何っ!?」
 バクバクと心臓が今にも壊れてしまうんじゃないかと思う程に鳴り響いて、尚史の思考回路は混乱するばかりだった。
「俺は、尚史のお陰で母親に会えて、天の国に逝けたんだ。あの日、尚史に会えなかったら、俺は未だ彷徨っていたかも知れない。それで、天の国からずっと見ていたんだ。護りを失った尚史は、様々の危険な目に遭っていたんだけど、その度に俺は天から降りて、護って来た。でも、それでは追いつかなくなって来て、俺は神様にお願いして転生させて貰う事になったんだ」
 虹輝の優しく透る低音が心地良い。それに気を取られて、話の内容を理解するにはかなりのタイムラグがあった。
「……尚史?」
 名を呼ばれハッと我に返り、先程の話を反芻する。
(……って事は、虹輝が藤吉の生まれ変わりって……本当の事なのか?)
 しかし、虹輝から一度もそんな体験したとか聞いたことがなかった事もあり、それが本当の話か疑ってしまった。
「……でも、どうして? 追いつかないって、どういう……」
「俺は、子供のままの魂では尚史を護り切る事が難しくなって、成長する必要があったんだ」
「それはどういう……」
「尚史はね、魂を浄化させる能力を持っていたんだ。でも、あの御狐が居なくなって、幼い尚史の器ではエネルギーが膨大過ぎて、その能力はコントロール不能になって廃人になる可能性が高かったから、御狐は封印して行ったんだ。俺もそれと同じ原理」
尚史は虹輝の言っている意味が、分からなかった。自分は幼い頃、ただ人と違うものが視えるだけ、そう思っていたから――。
「だけど、浮かばれない者たちは尚史が術を使えないって分らないから、尚史の発する残渣の光に縋って、寄って来る。そして心の目も封印されたけど、それが分らないから、危険な場所へも踏み込んでしまっていたんだよ」
「……心の目?」
「そう。そこが開いていると、尚史はきっと今頃、正気ではいられなかったと思う。あの御狐は尚史が酷く怖く感じないようにフィルターを掛けていたんだ。まともに見えていたらもっと惨い姿だったから」
 そう言うことだったのか、と思うが、まだ納得が出来ずに無言になる。
 あの時の狐の言葉が蘇る。『あなたは将来――』
 それはきっと、霊能力とか神通力とかの類が使えたって事じゃないかと、ふと思う。
 その能力が失われてしまった今、実際には確かめる術もないのだが――。
 虹輝は、キョトンとしている尚史の顔を見つめながら、ニッコリと微笑む。
「まだ納得出来ない? 俺はずっと尚史を見てきた。だから、尚史の好みに生まれ変わったんだけど、気に入ってくれた?」
 尚史は顔をカッと真っ赤に染めて、慌てふためいた。
「い、いや!! 何言って……っ!!」
「……どうやら、気に入って貰えたみたいだね? 尚史が女の子の方が好きだったら、そっちにしようと思ってたんだけど、違うみたいだったから」
 尚史はガツンと頭に衝撃を喰らったようなショックを受ける。
 虹輝の話が本当ならば、自分が同性愛者だと言う事は、とっくの昔に虹輝に知られていたと言う事になる。それを思うと顔から火が出るほど恥ずかしかった。
 尚志は恥ずかしさで身悶えしながら、虹輝から逃れようと足を動かすと、そのまま押し倒される形になり、唇を塞がれた。
「!?」
 柔らかな感触が唇に触れる。驚き目を瞠ると、虹輝は尚史のシャツに腕を伸ばしてきた。ジタバタともがき、抵抗すると虹輝は不思議そうに見つめる。
 尚史は全力で腕を伸ばし何とか引き離して、息を荒げながら乱れたシャツを手繰り寄せると、あわあわとしながら口を開いた。
「い、いや、ちょ、お前!! 唐突過ぎるだろ!! 僕はお前が好きなんて一言も……」
 その言葉を遮るように、さらに唇を塞がれる。
 虹輝は尚史を求めるように、その唇を押し開き、荒々しく口腔を蹂躙する。
「ん……ふ……」
 まともに話せなくなり、尚史は次第に虹輝にされるがままになって行く。
 絡み合う隙間から絶え間なく漏れる息に、尚史は自分を見失いそうになる。
 あんなに恋焦がれた虹輝とこうして唇を重ね、虹輝も自分を求めている。
「んん……ん、はぁ、あっ……」
 次第に熱を帯びた血液が、尚史の下腹部を満たしていく。反応を示し始めた身体に戸惑いを覚えながらも、尚史は夢現のまま虹輝に身を任せていた。
 このまま、ずっとこのまま、虹輝と――。
 だが、頭の片隅で、自分に問いかける声があがる。
(虹輝は僕の話に合わせてくれて、ただ慰めようとしてるんじゃないか? これは僕を試しているんじゃないか? いつまでも彼女の一人も連れ来ないから……?)
 そう思った途端に今までの熱が引け、虹輝に慰められてる自分が情けなくなる。
(きっとそうだ……。心霊体験している友達がいるんだったら、そう言う話にも詳しいはずだろうし……) 
 虹輝は優しいから、自分に話を合わせてくれているだけに違いない。
 その時、尚史の脳裏に嫌な思考が巡った。もしかしたら、あの教師が虹輝に話したのではないかと――。
 尚史は思いっきり虹輝を突き飛ばし、息を荒げた。
「虹輝……どういうつもりだ?」
「どういうつもりって……さっき説明しただろ……?」
「僕を護るために生まれ変わって!? これのどこが、そういう話になるんだ!?」
 尚史が声を荒げると
「尚史が好きだから、護りに来たんだ」
「好き? 違うだろ! お前、彼女連れて来てたじゃないか!?」
「……彼女?」
 虹輝は眉間に皺を寄せて、考え込んでいる様子だった。
 虹輝のほど容貌と性格だったら近寄って来る女の子は沢山居るだろう。もしかしたら不特定多数と付き合っていて、誰か特定できないのかも知れない。
 そんな考えが頭を過ぎると、尚史は沈鬱になった。取りあえず一度だけ見かけた事がある女の子の特徴を口にしてみた。
「ほら! お前のバイト先の……髪がくるっとしてて、小さめな」
「あれは彼女なんかじゃない! バイトの事で、ただ分らない事があるから教えて欲しいって言ったから、連れてきただけで、俺が好きなのは尚史だけだ」
「でも、連れ込んだんだろ!!」
「だから……店じゃ人目につくし、噂になったらあの人だって彼氏いるから、迷惑掛けると思ったから連れて来ただけで……」
「……もういい、お前は僕にただ同情してるだけだ。おかしい事を言う兄貴が可哀想になって、慰めてくれようとしたんだろ? それで彼女の一人も連れて来ないし、高田先生に聞いて僕がゲイだって分ったんだろ?」
「……は? 高田先生……?」
「中学の時に担任だったろ! 僕が先生に告白した事を聞いたんだろう!!」
「え、何言って……? そんなの俺は知らないし、俺はあの時から、ずっと尚史が好きで……」
 虹輝の真剣な眼差しに、ズキンと胸が痛む。虹輝が嘘をついてるとは到底思えない。
「……尚史は、あの先生が好きだったの?」
 虹輝の顔色が変わり、きつい眼差しでじっと見据える。尚史は視線を逸らせた。
「……ああ、好きだったよ」
「それは今でも?」
「…………」
 尚史は迷った。ここでそうだと答えた方が、虹輝のためだと思った。虹輝はまだ十八歳だ。色々な事に興味があってもおかしくは無いが、ただの興味の対象として見られているのだったら哀し過ぎるし、自分のように誰からも受け入れてもらえない存在になるなんて、虹輝にはそんな風になって欲しくない。
 尚史は張り裂けそうになるほどの胸の痛みを堪えて拳を握り締める。
 キッと虹輝を睨みつけ、敢えて嫌われる事を言った。
「僕はあんな感じの人が好みなんだ。お前は好みなんかじゃない。そんな事よりも彼女、案外こんな風に口説いたんじゃないか? お前なら選り取りみどりそうだもんな。女には飽きた?」
「――尚史!? どうしてそんな卑屈に……」
「そうだよ、僕はゲイだよ。身近にゲイの人間が居て、試したくなったんだろ? だけど弟に慰めてもらうほど餓えてる訳じゃないし、落ちぶれちゃいない!!」
「……尚史、本当にどうしたちゃったんだよ!! 違う、そうじゃない、話を……」
「煩い黙れ!! どうせ遊びが済んだら女の子の方が良いって思うに決まってるだろ? だったらこんな遊びに付き合うなんて真っ平ごめんだ!!」
「だから違うって何度言えば……あっ、尚史!?」
 尚史は隙を突いて虹輝の腕から逃れると、脱兎の如くその場を去った。
 虹輝に酷い事を言ってしまったと、後悔の念を抱きながら――。

               

               ――to be continued――


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