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お話倉庫

主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

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――扉を開けて――<31>

すみません、文字数の関係でちょっと変な切れ方をしてます^^;


 俺はまた白い空間に投げ出され、漂っていた。
 何が起こったのか分らず、周りを見回してみると麻里が微笑んでいた。
 消えかけていた身体はすっかり元に戻り、くっきりとその姿を現している。
「ま、麻里!? 無事だったのか?」
「お兄ちゃん、ありがとう。あたしは見ての通り、大丈夫」
 その言葉に安堵し、深い息をついた。
「でも、どうして俺はここに?」
「今、吉岡がお兄ちゃんの身体を貸して欲しいってね、言って来て。あいつ、やっと目が覚めたみたいだから、特別に許可してあげたわ」
 ぶわっと白い大きな羽を広げ、全身に輝きを増した麻里は、天使そのものだった。
 俺がそれに見とれていると、麻里は笑みを零す。
「羽も戻ったし、これでまた天に戻れるわ。お兄ちゃんのくれた羽、とっても役に立ったよ。天使まで昇格してなかったら、あたしは誰も護る力も無かったし、とっくに消えていたから」
「そうか……そこの記憶は無いんだけど、背中にあったアザか?」
「うん、そうだよ。あれは天使の羽だったの」
「そっか……。ところで、俺はどうなるんだ?」
「大丈夫、肉体にはちゃんと繋がってるから。足元を見てみて?」
 確かに前にも麻里が言ったように、足元には透明なひも状のものが繋がっていた。
「んー、これはどういう状態なんだ?」
「身体に魂は二つも入れないの。それで一次的に避難場所としてお兄ちゃんはここに居るってわけ」
「……でももし、吉岡が俺の身体から離れなかったら、俺はどうなるんだ?」
「死霊はね、元々肉体がないから、一時的に乗り移る事ができるけど、肉体のマスターが居る限り、ずっとは無理。せいぜい三十分ってところかな」
 それを聞いて安堵の息をつく。そこに「ママ!」と晴くんが駆けて来る。
「あー、晴! 心配させてごめんね、でもママ強かったでしょ?」
「うんっ!! ママ凄かった! 僕も大きくなったらあんな風になれるかな?」
「そうねー、あと三回くらい転生して、経験を積まないとね」
 麻里は満面の笑みで晴くんを抱える。晴くんは俺を見てニッコリと微笑んだ。
「おじちゃん、ママを助けてくれて、どうもありがとう!」
「いや、お礼を言うのは伯父ちゃんの方だよ。ママと一緒に戦ってくれて、ありがとうな」
 頭を撫でると嬉しそうに微笑む。
「……麻里もありがとうな。今まで辛い思いをさせて、すまなかった」
 麻里は首を横に振る。
「だって、お兄ちゃんはあたしの大切な家族だもん。現世で縁があって結ばれた兄妹だから……。そして涼ちゃんも家族だから」
 麻里の気持ちが嬉しくて、気がつけば俺の頬は濡れてた。
「ありがとうな、麻里」
「やだ、泣かないでよ! そんなんじゃ涼ちゃんに嫌われちゃうんだからね?」
 麻里はおどけた顔をして笑みを浮かべる。俺は掌で涙を拭い、笑顔を向けた。
「そうだな、しっかりしないとな」
「そうだよ。それでなくても中身が子供なんだから、しっかりしないと!」
 麻里の言葉に俺は、疑問に思っていた事を聞いてみる事にした。
「なあ、俺の記憶は戻るのか?」
「……それはあたしにも分らないわ、ごめんなさい」
 麻里は申し訳無さそうに俯いた。俺はかなり気落ちしたものの、こうして麻里が無事だっただけでも良かったと思い、首を横に振る。
「いや、良いんだ。お前が無事だっただけで」
 麻里は微妙な表情をしながら微笑んだ。
「だけど、お兄ちゃんは涼ちゃんから好かれてるから、きっと大丈夫だよ。この先、記憶が戻らなかったとしても……。あのねお兄ちゃん、一つだけお願いがあるの」
「ん? なんだ?」
「涼ちゃんがね、自分は疫病神だなんて思ってるんだけど、それは違うって教えてあげて」
「どういう事だ?」
「簡単に話してしまえば、私達の生まれた桜井家って、本当は物凄く短命なの。なんか先祖の因縁らしくて、あたし達の代で終わる事になってるんだって。あたしも実はここまで生きられたのが奇跡だって神様に言われたよ。あの川で溺れて死ぬ予定だったみたい」
「そうだったんだ?」
「だけど桜井家の先祖がそれを阻もうとお兄ちゃんに羽を渡したんだけど、結局生きてる人間にはそれは使えない。だからあたしが貰ったの。お兄ちゃんも一度、あたしが生まれる前に命を落としかけた。小さい頃だから憶えてないと思うけど。でもその時はまだ小さくて、天界に近かったから何とか難を逃れたんだ」
 麻里の話を、ぼんやりとしながら聞いていた。現実的な事にしか、実感がわかない。
 そんな不思議な事もあるのかと思いつつ、相槌を打っていた。



               ――to be continued――
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