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主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

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――いつまでも ずっと――<50> R-18

 バスに揺られながら、夢心地になる。
 今度の金曜日、隼人に逢える――。
 その事が凄く嬉しくて、自然に頬は緩んでいた。
 端から見たら、ただのニヤニヤしている、気持ち悪い男かも知れない。
 でも、もう周りの目など気にしない。人から祝福されなくても、非難されても、もう揺らぎはしない。ずっと隼人を愛し続ける――。
 それが俺、蓬田涼太と言う人間の生き方だ。
 未だ意識不明のままであるとしても構わない。傍に居れるだけでいい。
 ただその想いだけを胸に、俺は生きる。
 隼人以外、愛せる人など居ないから――。

 停留所から寮に着くと、リチャードの車が停まっている。
 カールは仕事があるからと、自分の働くホテルに戻って行った。
 しかし、リチャードは毎日、俺に食材を運んでくれていた。カールに様子を見てとでも言われたからだろうか、あれからずっと通ってくれている。
 今日はいつもより帰りが遅かったせいで、待っていてくれたのだろう。
 車に近寄り、車窓をコツコツと叩いて呼んだ時、慌てたリチャードは扉を開けた。
 俺はそのドアに当たった反動で、尻餅を着いた。
「わ! ごめん!! 大丈夫か? 涼太」
「うん、大丈夫。遅くなってごめん」
 リチャードはすまなそうにして、俺を引き起こすと頭を掻いた。
「今日は遅かったね? 食材持って来たけど、何か食べて来た?」
「いや、まだだよ? いつもありがとう、リチャード。食事代助かるよ!」
 ホッと安堵の息を吐き、リチャードは微笑んだ。
「リチャード、お礼と言っては何だけど、食事まだだったら……」
「いや、私はもう……でも、お茶ご馳走してくれる?」
 普段は直ぐに帰ってしまうリチャードだったが、俺の顔をシゲシゲと眺めながら珍しく自分から誘ってきた。
「うん。それじゃ、中に入って?」
「何か良い事あったね? 話を聞こうじゃないか?」
 リチャードは俺の肩をポンと叩いて、ニッコリと微笑んだ。

 テーブルにスコーンと紅茶を用意して、病院に行く前に作った、自分の食事を置く。
「涼太も、なかなかやるね? でもカール程じゃないかな」
「はいはい、ごちそうさま! 相変わらずお熱いようで?」
 恋は盲目とはよく言ったものだと思いつつ、確かに、カールのレパートリーの数と腕は凄いので頷くと、満足そうに微笑む。
「やっぱり何か良い事あったんだね? 私は初めてだよ、そんな君の笑顔と覇気のある声」
 リチャードには暗い顔ばかりしていたのかと、気が付かされた。
 状況が状況だっただけに、仕方の無い事だけれど、悪かったと思う。
「ごめん、リチャード……」
「ほら! また謝る。カールに揉みくちゃにされるよ? また」
 リチャードは、俺がカールにそうされた時でも思い出したのか、ププっと笑った。
 和やかな雰囲気の中、そうして俺は、今日起きた出来事を話す。
 リチャードは終始、ニコニコとしながら黙ってそれを聞いていた。
「……と言う訳なんだ。今度の金曜が待ち遠しいよ」
「でも、そのスージーって人は、信用できそうなの?」
「うん。その人ニューハーフって言うか、性転換した、元、男の人だから」
「そうか、成る程……。良かったな、涼太!」
「うん、ありがとう! リチャード」
 リチャードは俺の上機嫌な返事につられてか、カールについて話し出した。
 それはそれはもう『お熱い』としか言いようが無い、内容だった。
 俺は、カールがリチャードに夢中なのかと思っていたから、その内容に目を瞠る。
 リチャードはカールに、心底惚れていた。
 が、カールはかなり破天候な性格らしく、時々困るとは言ってるものの、語り口調は可愛くて仕方が無いと言った様子で、嬉しそうだった。
 暫くその『のろけ』を聞かされ、俺まで頬が赤くなる始末だ。
 それを見て、リチャードはハッと気が付いたように
「ごめん、涼太……こんな事、誰にも話せないから、つい……」
「いや、別に良いよ。リチャードがこんなに情熱的だったなんて知らなかったから、そのギャップが楽しかったし。凄く大人って感じだったけど、親しみやすくなったよ?」
「そう? 私はカールより年上だからね。やっぱり頼って欲しいから、彼には」
「そっか、リチャードって結構、見栄っ張りなんだ?」
 俺がクスクス笑うと、照れくさそうにしてリチャードも微笑む。
「それじゃ、私はこれで失礼するよ。カールに良い土産話が出来たし……あ、カールにはこの事……」
 俺はぶっと噴出し、リチャードを見てクスクスと笑った。普段はしっかりしている、リチャードのちょっと怯えたような表情が、なんとも可愛らしく思えたからだ。
 案外リチャードは、カールの尻に敷かれているのかも知れない。
「言わないよ! それじゃ、カールに宜しく」
「約束だよ? そちらも恋人に宜しく」
 互いの顔を見て、クスクスと笑う。玄関先まで見送るとリチャードは手を振ってから車に乗り込み、やがてテールランプが遠くに消えていった。

 俺は少し肌寒さを感じて、身震いをすると部屋に入る。
 バスタブに湯を張り、衣類を脱ぎ捨て、そこに浸かった。
 ふと、下半身に熱を帯びてるのを感じ、溜息を吐く。
 リチャードの話で熱に当てられたせいなのか、隼人に逢える嬉しさからなのか、俺の猛りは激しさを増すばかりで、一向に収まる気配が無い。
 今までずっと、隼人の事が気に掛かっていて、そんな欲など忘れてしまっていた。
 だが、生理的な現象で、夢精はたまにあった。それも決まって、隼人に抱かれる夢を見た時に――。
 正直、こんな歳で夢精なんてと、羞恥と悔しさが込上げて、涙が滲んだ。
 隼人の行方が分からないと言うのに、性欲に駆られる卑しい自分の身体が、恨めしくもあった。
 今だって隼人は意識不明でいると言うのに、情けないにも程がある。
 俺は舌打ちすると、他に気を紛らわす為、必死に料理の事を考える。
 スージーに何か他に、和食のおかずを付けて……。
 味噌は大丈夫だろうか? 茄子の田楽、ふろふき大根……。
 醤油は前に作った、肉じゃがで食べたはずだ。多分、大丈夫だろう。
 魚はさっぱりと塩焼きにして……、あ、鮭のおにぎりって言ってたな。
 肉にしよう。鶏肉の和風から揚げ。ごま油も用意して……。
 そうだ、ほうれん草のごま和えなんて、どうだろう? 隼人が好きだった……。
 ――ズクンと下半身が疼く。
 隼人の笑顔を思い出しただけで、俺の意思とは関係なく、そこに血液を集中させて、重さを増している。
 まるで他の生き物のようだ。先端を湯とは明らかに違う蜜で濡らし、鈍い光を放つ。

 苛立ちを抑えられなくなり、俺は早々にバスタブから身を起こして浴槽から出ると、身体を拭くのもそこそこに、下着だけ身に付けてベットへ潜り込んだ。
 寝てしまおう。そうすれば収まる。
 枕に顔を寄せた時だった。懐かしい匂いが鼻元をくすぐる。
 不意に視線を向けると、洗おうと思って置いてあった隼人のシャツだった。
 事件が一段楽した時に、警察から届けられた隼人の所有物の中に、衣類も入っていた。
 シルク製品だったから、後で専用の洗剤を買って来ないと、と、思っていたのだが、すっかり忘れていた。
 ハンガーにかけて置いてあったのだが、何かの拍子に落ちて来たらしい。
 その匂いを嗅いだ途端、隼人と愛し合った記憶が脳内を駆け巡り、またも収まりかけていた欲望が暴れだす。
「くっ……」
 次第に息が上がり、もうどうにも出来ないくらいに成長した俺自身は、制御が出来ない程に膨れ上がり、頂点を目指して暴走を続ける。
「い……やだ、収まれ……っ!」
 情けなさと悔しさで、涙が滲む。
 こんな事してる場合じゃない、俺は馬鹿なんじゃないか!?
 自分を叱咤してみるも、暴れだした欲望は、貪欲に頂点を目指そうとする。
 身を捩り体制を変えて回避しようとするが、まるっきり逆効果で、下着で擦れたそこは更に熱を帯び、俺は反射的に身を反らした。
「う……あっ」
 その拍子で、今度は上半身の尖りがシーツで擦れ、そこを刺激する。
「っひぁ……」
 甘い吐息が口許から零れ落ち、猛りは蜜で溢れんばかりに、じっとりと嫌な湿気を帯びて下着を濡らして行く。
「は……やと……ぉ……」
 名を呼んでも、返事は無い。でも、微かに隼人の匂いが漂う。
 俺は隼人のシャツを抱きしめた。鼻先にシャツを押し付け、その匂いを貪るように嗅ぐ。
 愛しい隼人の香りが俺の中に満たされると、心臓は早鐘を打ち、胸の奥が甘い痺れに震えて、止まらなくなる。
 欲望は気が狂ってしまいそうなほどに暴れ出して、俺は理性を失った。
 そっと下着に手を伸ばし、自身を慰めてみる。
 それだけでは何か物足りなくて、蕾に指を忍ばせて、隼人がしたように真似てみる。
 鋭い刺激が突き抜け、頭の芯まで溶けてしまいそうになった。
 隼人に開発された身体は、その感覚を覚えてしまったようだ。
 想像の中で、俺は隼人に抱かれた。隼人が俺を可愛がっていると、そう思うだけで昂って行く。隼人のあの手が、指が、俺に触れていると――。
「……っはぁ、ん、ん……」
 甘い吐息が口許から止め処なく零れ落ちる。
 今だけ、この時だけ忘れたい……隼人の現在の姿を――。
 あの頃の隼人に、俺は今、愛されてると――。
「んぁ……、あぅ……はや……んんっ」
 次第に蜜が掌に零れ落ちるほど滴り、頂点が間近い事を知らせる。
「は……やと……愛……してるっ、……ん、は……ぁあっ!!」
 白濁を散らし頂点を迎えると、俺はその場にうつ伏せた。
 息がすっかり上がり、微かに震える身体は熱を帯びて、余韻がまだ続いている。
 しかし、ただ性欲を満たしてしまった罪悪感だけが押し寄せ、満たされない感情を持て余し、涙が頬を伝った。
 ――逢いたいよ、隼人。
 お願いだ、目を覚ましてくれ。
 そして笑って、名を……『涼太』と、あの声で呼んで、その腕に抱いてくれよ。
 帰ろうよ一緒に。俺たちの家に……。
 先の見えない不安が、俺の胸中を支配する。
「っ……っあっ、あああああああああああーーーーーーっ!!」
 胸のつかえを取り去りたくて、俺は枕に顔を押し当てて叫んだ。
 それは次第に泣き声になり、枕を濡らして行った。
 誰も居ないその部屋で、泣く事しか出来ないでいた。ただ隼人を想って――。



               ――to be continued――


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