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主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

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――いつまでも ずっと――<42>

 ふと顔を上げ、言葉を発しようとした時、儀父と目が合った。
「――涼太君。君、何か知っているんじゃないか?」
 先を越され、言葉に詰まる。
「いや、責めてる訳じゃない……。ただ、ここに着いた時、ドクターに話を聞いたんだが君は先に着いていたようだね……。支払いも済ませてくれたみたいだし、君は……」
 義父は言葉を続けようとしたが、義母の「あなた!!」の声に遮られる。
「どうした、紗江子」
 義父が振り返ると、義母は握り締めている隼人の手を、ゆっくりと挙げた。
 僅かだが、隼人の指が動いている。
 俺も隼人の傍に駆け寄った。瞼の中で眼球が動いているのが見えた。
「隼人!!」
 皆一斉に声を上げ、隼人の名を呼ぶ。
 その声に反応してか瞼が動き、ゆっくりと持ち上がって行く。
 懐かしいあの優しい瞳が、俺を捉えた。
 感極まり、俺は零れ落ちそうになる涙を、必死に堪えた。
「隼人、気が付いたんだな、良かった……」
 隼人はぼんやりと周りを見渡している様子だった。瞳だけがゆっくりと動いている。
「隼人……今、先生を呼ぶわ、良かった、あなたが無事で居てくれて……」
 義母は涙を溢れさせながら、隼人の手を握り締めた。
 すると隼人は身体を起こそうとでもしているのか、頭を少し横にして苦しそうな表情をする。
「無理しちゃいけないわ!! そのまま寝ていなさい」
 義母の横で義父が頷きながら、鼻頭を紅く染めていた。
 が、隼人はその言葉に反応する事無く、再び目を閉じてしまった。
 その後、何度か声を掛け揺すったりもしてみたが、隼人の瞳を見る事が出来なかった。

「一時的なものかも知れないな……」
 義父は残念そうに肩を落とし、義母に話す。
「そんなの分からないじゃない!! 先生を呼びましょう!!」
 義母は義父の発言に同意はせず、ナースコールのボタンを押した。
『どうされました?』
 ベットの上のスピーカーから女性の声がする。
「息子が今、目を開けたんです!! 先生を呼んで貰えませんか!」
 義母も流暢な英語で対応している。
 俺は麻里との結婚式で、初めて儀父母の経歴を知ったのを思い出していた。
 義父は有名大学の教授で、義母はその大学の講師だったと聞いた時、隼人が部活をしていても常にトップの成績だった筈だと、その時に納得した。
 隼人は生まれ付いてのサラブレッドだ。
 だから、本当は自分がこんな風に関わって貰えるなんて、思っていなかった。
 友達として……そして、恋人として。
 隼人の事がこんなにも愛しくなるなんて、思ってもみなかった。
 その隼人を、この場で失うかもしれない。
 波多の両親がそうしたように、儀父母は俺を遠ざけるかも知れない……。
 そう思った瞬間、背筋が凍りついたようになり、全て話そうと思っていた決心が揺らぐ。

 ドアの所でノックの音と同時に、医者とナースが数人入って来た。
 担当医と言っていたDr.ホーネットは、少し息が上がっていた。
 意識を戻したかも知れないと聞き、慌てて来てくれたのだろう。
「Mr.サクライが目を覚ましたんですね?」
 ホーネット氏は隼人の様子を観察しながら、義母に尋ねた。
「ええ、ほんの少しの間ですが……」
「言葉は? 何か言いましたか?」
「いえ……何も……」
「――そう、ですか……」
 一通り隼人の様子を見て、ホーネット氏はナースから伝票のようなものを受け取ると、難しい顔をした。
「脳波形も付けていますが、確かにほんの一瞬反応はありました。しかしまだ何とも言える状態では無いようです。麻薬の影響もあると思われますし……」
 義父母は驚き、目を見開く。
「麻薬!? 隼人が!? どうして!? 隼人はそんな事するような子じゃないわ!!」
 義母が堰を切ったように、ホーネット氏に食って掛った。
「落ち着いてください。Mr.サクライは事件に巻き込まれて運ばれてきたのです。詳しい事は私には分かりません。そちらのMr.ヨモギダから話は?」
 視線が一斉に俺に向けられた。
 動揺と困惑、そして怒りの色が見え、目を伏せたくなるのを必死に堪える。
 暫くの沈黙の中ホーネット氏は、一つ咳払いをして
「Mr.サクライの様子に今のところ変わりは見られませんので、私はこれで失礼します」
 不穏な雰囲気を察知したホーネット氏は、関わりたくないと言いたげな表情で、足早に病室を後にした。
 それに追従してナースたちも居なくなり、儀父母との重い空気が病室の中を漂う中、自分の心臓の音だけが耳に付く。



          ――to be continued――


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