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主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

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――いつまでも ずっと――<41>

 タクシーの中で俺は、波多との会話を思い出していた。
『……晃との関係が発覚してから、両親はその事に激怒し、落胆した――』
 通常なら、そうだろう。普通に結婚して、子供を授かって、未来を互いに育んで行く。
 自分達が歩んできた道を、当然、自分の子供も歩むと。
 それが、同性が相手だと知れば、その落胆は目に見える。そこで未来が閉ざされる訳だから、家業を継ぐ仕来りのある家など、特にそうだろう。
 それに母親の落胆振りは、半端じゃないはずだ。孫という新しい命を、娘や息子と共に育む、その楽しみが奪われるからだ。
 でも、普通に結婚しても、子供が出来ない夫婦だって居る。
 一生を独身で過ごす人だって居る。
 それを考えたら落胆する事も無いとは思うが、同性が相手と言う事で世間の見る目が違うだろうし、理解の無い人から非難、中傷される可能性が高い。
 あるいは好奇の目で見られ、根掘り葉掘り訊かれたりする事もあるだろう。やはり事情が違うと親の感情だって変わってくる。
 まして、うちの義父母は一度、孫を見る喜びを知ってしまっている。
 晴が生まれた時の、義母の喜びようは、見ていて微笑ましかったし、嬉しかった。
 まだ子育てに慣れていなくて、落ち込んでいた麻里に
『子供にお母さんにして貰うのよ、誰でも最初はそんなものよ』と、微笑みながら、泣きじゃくる晴を背負って、楽しそうに子守唄を歌っていた……。
 脳裏にその時の光景が蘇る。
 晴も麻里も失ってしまった義母の、あの時の落胆振りは痛々しくて、俺は、更に罪の意識に苛(さいな)まれた。
 それなのに、俺はまた一つ罪を重ねた。
 隼人しか居なくなった桜井家の、未来を断ち切ってしまった……。
 その責任が重く圧し掛かる。
 ――儀父母に会うのが、怖い。
 どうやって説明しても、納得して貰えないだろう。
 でも、隼人への想いを断ち切る事なんて、到底出来ない……。
 沈んだ顔をしていると、運転手から「具合が悪いのなら、急ぎましょうか?」と、声を掛けられ、ハッと我に返る。
「いえ、大丈夫です……ちょっと考え事していただけですから」
「そうですか?」
 運転手はそう答えると、病院までの道のりをゆっくりと走る。
 俺がアジア系の出で立ちをしているから、観光客で稼げる相手だとでも思っているのだろう。
 普段なら道のりを指定して、最速短で着く様にするのだが、今日は返ってその方が有難かった。少しくらい遠回りして貰った方が、気持ちの整理が付く。

 のろのろと走っていたタクシーだったが、いつもより病院に到着するのが速く感じる程、俺は必死に思考を廻らせていた。
 着きましたよ、と運転手から声を掛けられ顔を上げると、見覚えのある大きな建物が目前に飛び込む。
 結局、良い案も浮かばないまま、タクシーを降りた俺は小さく溜息を吐いた。
(正直に話したほうが良いのだろうか……。それとも知らぬ存ぜぬで通した方が……。いや、そう言う訳にも行かないだろ、しっかりしろ! でも、どうやって切り出したら……)
 まだ答えを出せぬまま、エレベーターの前に立つ。
 溜息混じりに携帯を取り出し時間を見ると、ふと、階段が目に入り、少しでも間を伸ばすために階段を使うことにした俺は、ゆっくりと上っていく。
 警察にいた時間は短いようだったが、軽く三時間は経過していた。
 隼人の両親が到着していても不思議は無い。
 二階、三階と上って行く内に、心臓の鼓動が高まってやけに耳に付き、更に緊張を煽って行った。
 長い廊下を黙々と歩くと、緊張のせいなのか目の前が霞んで見えた。
 隼人の部屋の前に立ち、大きく深呼吸をしてからノックをする。
「はい? どちらさま?」
 流暢な英語だった。
 しかしその声を聞いた時、心臓が止まりそうになった。
 扉を開け、中から顔を出したのは、隼人の父親だった。
 覚悟はしていたとは言え、全身が緊張してガチガチになる。
「ご無沙汰しています、お義父さん……」
「ああ、涼太君。よく来てくれたね……。さ、どうぞ」
 無理に笑顔を作る義父に促され、病室に入ると中には義母が隼人の手を握り締め、心配そうに見つめていた。
 俺が来た事に気が付くと義母は立ち上がり、涙を溢れさせる。
「涼太くん……、遠い所ありがとうね……」
「――いえ……」
 そんな二人の姿を見たら胸が詰まってしまい、それ以上は言葉が出なかった。
 暫く沈黙が続いたが、義父が気を利かせて
「疲れただろう? そこに腰掛けて休んで構わないよ」
 備え付けのソファーを掌で示し、俺を促した。
「あ、はい……ありがとうございます」
 言われるままソファーに腰を下ろすと、ベットに横たわる隼人が見えた。
 儀父母は項垂れながら、隼人の傍にいる。

 今まで俺を本当の息子と変わらないと言って接してくれた儀父母。
 麻里が旅立ってしまってから、荒れ狂った俺を見守ってくれた。
 後から隼人から色々聞いていた俺は、胸が締め付けられる。
 なのに、そんな儀父母を裏切るような事をしてしまった。
 これ以上、儀父母を裏切りたくない。自分だけ逃げたくない。
 例え許されなくても、全てを両親に話そうと決意した。



               ――to be continued――

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