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主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

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――いつまでも ずっと――<36>

「有り難うな。カール、リチャード。君達には礼をいくら言っても足りないよ……感謝してる。でも、いいよ……自分から、ちゃんと話さないといけない事だから……」
 責任逃れをするのは嫌だった俺は、微笑みながらもカールの申し出を断った。
 笑っていたカールだったが、俺の方を見て座り直すと、真剣な眼差しを向ける。
「ん、そう言うとは思ってた。だけど涼太、これからどうするんだ? 恋人が入院となると、保険利かないだろ? 彼がそういう用意をしていれば別だけれど、君か、両親が支払う事になるんだよね?」
「いや、隼人の両親に払わせる訳には行かないから、俺が払うよ」
 あまりにも重い現実に、不安に駆られる。しかし、金の話じゃなかった。
 いざとなったら、全ての貯金を使っても良い。マンションだって売ったって構わない。
 それで足りなければ、借金だって厭わない。その分、必死に働けば、良いだけの話だ。
 隼人が助かってくれれば、俺はこれからどんな苦労をしても、構わない。
 それよりも、隼人の両親に、この事をどう話せば良いのか、それだけが心の中を占める。
 俺のそんな様子を察したのか、リチャードが口を開いた。
「だったらここに居るより、社員用の寮に移ると良いよ。勿論、お金は要らないから」
「そんな……、君のホテルで事件を起こして、それじゃなくても迷惑を掛けっぱなしなのに、そこまでして貰うなんて……」
 すると、カールとリチャードは顔を見合わせ、クスッと笑った。
 俺は意味が分からずに、きょとんとしていると、カールはにっこりと微笑む。
「いや、涼太。返って知名度が上がって、こっちは迷惑なんかじゃないんだよ? まぁ、確かにあまり良い知られ方じゃないけれど、そういう事件があった部屋に、興味深々で泊まりに来る、変わった連中も居るからね。もう既に問い合わせあったんだよ? 大丈夫、問題ないから」
「そうそう。ここは我がホテル最上級の値の場所だからね。ミステリーツアーに組み込まれて、ゴーストとか出たらまた話題になって、儲かるかもね?」
 リチャードそう言うと、カールに向かって微笑んだ。
 日本では、そんな事件など起きた部屋は、忌み嫌われるが、こちらではそうでも無いのか……。
 どちらにしても、カール達がポジティブなものの考え方をする人達で、良かったと、ほっと息を吐く。
「本当に、社員寮借りて……良いのか? リチャード」
「勿論、大歓迎だよ。食事も心配しなくて良いから、君は恋人の傍に居てあげなよ」
 カールも横で頷いている。俺は友達に恵まれて良かったと、心から感謝し言葉にする。
「本当に、二人とも……ありがとう」
 感極まって涙が溢れそうになった。
 二人はニッコリと微笑み、頷いた。
「涼太はね、家族みたいなものだから。オレ達も必要とされると嬉しいんだよ。さ、明日もやる事が沢
山あるだろう? 今日はもうオレ達も引き上げるから、ゆっくりお休み」
 食事を終えると「それじゃ、また明日」と、カール達は部屋を後にした。

 二人が帰った後の静まり返った部屋で、俺はベットに横になると携帯を取り出し、画面を見つめた。
 緊張で、胃がキリキリと痛くなる。
 ――隼人の両親に話さない訳には行かない。だけど、どう言って説明したら……。
 考えが纏まらずにいると着信音が鳴った。ビクッと身体が緊張で強張る。
 相手を確認し、震える指で通話ボタンを押した。
「……はい、涼太です」
『涼太君!! テレビは見たか!? 隼人が、隼人が……』
 義父の慌てぶりは、唯ならなかった。重態との知らせに、冷静で居ろと言う方が酷だ。
 暫く考えた末、俺は「いえ、まだ……」と、答える。
『すまないね、今、仕事中だったんだろう? でも、隼人が海外で、重態で発見されたとニュースで流れたんだ!! 私達は今日の便で現地に行こうと思ってる。君はどうする?』
「俺も、行きます。でも、急ぎの仕事が入ってしまって、手が離せないんです……」
 今、現地に居るとはとても言えなかった。
 嘘を言うのは心苦しかったが、適切な言葉が見付からない。
 それに今、本当の事を言って、無駄にパニックに陥らすよりマシだと判断した。
『そうか、それじゃ私達は先に行かせて貰う。向こうで会おう。病院の名前は、セントルイス・ホスピタルだ』
「はい、分かりました。お気を付けて……」
『涼太君も』
 義父はそう言うと、プツリと音声が途絶えた。
 暫くそのまま携帯を握り締めながら、自分の不甲斐なさを呪った。
 後から後から溢れ出す涙を、止める事が出来ないまま、眠れぬ夜を過ごした。翌日、荷物を纏めて、リチャードの運転する車に乗り込んだ。
 カールも助手席に身を置くと、車はゆっくりと発進する。
 昨日の宿泊料金は、結局、無料にして貰った。
 最初は支払うと突っぱねたものの、リチャードは頑なに受け取ってくれず、本当にいくら礼を言っても足りない、と感謝する。
「やっぱり、オレのペットになる? そうしたらもっと豪華に持て成してあげるよ?」
 カールは身を翻し助手席の椅子に掴まると、悪戯する子供のようにクスクスと笑った。
「それは……遠慮しておくよ」
 俺は苦笑いしながら答えた。
 これは冗談なのだろうけど、カールの眼差しを見ると半分くらい本気に見える。
 流石にペットとして扱われるのは、嫌過ぎるだろう。
「カール、冗談はそれくらいにしないと、涼太に失礼だよ?」
 リチャードに言われてカールは「はいはい、分かってますよ」と、小さく呟いた。
 笑いを誘おうとして失敗した、と言う感じで、カールは肩を落としている。
 やっぱり冗談だったよな、と、少し、罪悪感に駆られた。
 車が発進してから数分経った位の、ホテルからさほど離れていない場所に、その建物はあった。白い外壁の、割と新しいアパートメントだ。
 中に入ると、社員寮とは言っても広い室内に驚く。
 おまけに家具、その他諸々全部用意されていた。
「リチャード、本当にこんな立派な所、良いのか?」
 すると、リチャードは首を傾げ、不思議そうな表情をする。
「これが標準だよ? うちの寮は」
 ざっと見回しても、日本にある俺のマンションと変わりない。
 こちらはスケールが違うのか、と思いながら眺める。
「それじゃ、荷物を置いたら病院に出かけよう。これが君の部屋のキーだ」
 それを受け取ると、荷物をその場に置き、必要なものだけをセカンドバックに詰めてその部屋を後にした。
 病院の玄関前に着くとカールは、ウィンクを俺に投げて、微笑む。
「それじゃ、面会時間が終わったら迎えに来るよ。ギリギリの時間まで傍にいるんだろ?」
「うん、有り難う、二人とも。それじゃまた後で」
 手を振ると、二人を乗せた車は遠ざかって行った。



               ――to be continued――


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