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お話倉庫

主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

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――いつまでも ずっと――<34>

 誰も居なくなった廊下に一人佇む。
 ピコンピコンと何かの機械音だけが鳴り響く中、俺はナースステーションに向かった。
 奥の部屋から頻繁にナース達が出入りしている。多分、あそこに隼人は居る。
 そこに一人のナースが、点滴のボトルやらがぶら下がっているワゴンを押しながら、部屋から出てきた。
「あの……、あそこの部屋に、日本人が運ばれたと思うんですが……」
 そのナースは怪訝そうな顔を向け、眉間に皺を寄せて溜息を吐いた。
「そうですけど、家族の方?」
 忙しいのに、と、言わんばかりに、不機嫌な表情を浮かべる。
「はい、義理の弟で、ヨモギダって言います」
「そうですか。でも、面会は無理ですね。書類等に記入して頂きたいのですが、今はもう夜間帯で人手が少ないので、また明日来て下さい」
 早口にそう言うと、そのナースはナースステーションに消えていった。
「あの、ちょっと待って下さい! 義兄の容態は……」
 その後を俺は、慌てて追いかける。
 ナースは更に不機嫌そうな表情をしながら、ステーションの窓口まで来て「何ですか?」と、俺と満足に目も会わせないまま、医療器具を準備している。
「義兄が心配なんです。容態はどうなんですか!」
 俺は必死に訴えた。
「今、身分が証明出来るものと、患者さんと血縁関係である書類はお持ちで? それが提示できるのでしたらドクターに掛け合いますが?」
 ナースは溜息混じりに冷たく言い放つ。
「いえ……。今は自分の身分を証明するものくらいしか……」
「では書類を用意してから明日また来た時に、ドクターに聞いて下さい。私たちナースからはお答え出来ませんし、個人情報ですから」
「それじゃ、せめて……せめて、病室の前で待たせて貰えませんか?」
 なんとか隼人の様子が分かればと、必死に食い下がる。
「それは出来ません。完全看護なので。何か有りましたら連絡入れますから、連絡先だけ教えてください」
 俺の顔など見ずに、メモ用紙とペンを無造作にカウンターに置いた。
「書き終わりましたら、そこに置いといて下さい。それじゃ私は急ぎますから」
 またそのナースは、ステーション内に姿を消した。
 あっさりとかわされ、失望の念を抱いた。が、しかし、これ以上ナースを引き止めて隼人の容態が悪化するのは本末転倒だ。
 俺は仕方なく、携帯の番号とホテルの名前を記入し、それを置くと、相変わらずバタバタと出入りの激しい部屋に後ろ髪を引かれる思いだったが、ホテルに戻る事にした。

 階段をトボトボと降りながら、玄関まで来ると車のライトに照らされ、眩しさに目を閉じた。自動ドアの開く音がするのと同時に、リチャードとカールの声がする。
「涼太!! お義兄さんは?」
 心配そうに見るカールとリチャードに
「詳細は教えて貰えなかった……。書類揃えて明日また来てくれって……」
 項垂れる俺の肩を、カールはポンと叩いて微笑んだ。
「一度ホテルに戻ろう? ここで立ち往生しても仕方ないよ。涼太、飯まだだろ?」
「でも……」
 躊躇してると、リチャードが口を開く。
「君が倒れたら、誰がお義兄さんの様子を見に来れるの? こんな時こそしっかり食べなくちゃ」
 カール同様、俺の肩を労わるようにポンと叩き、励ましてくれた。
「そうだよね……ありがとう。それじゃ、そうするよ」
 カール達が運転して来た車に乗り込むと、俺はホテルに戻った。

 ホテルに到着し、自分の部屋に戻ると全身の力が抜け、眩暈が起きる。
 フラフラとしながらソファーに凭れ掛かり、天井を仰いだ。
 暗い室内に月明かりと、反射した街明かりが差し込む。
昼間の出来事が、まるで幻のように感じた。
 ぼんやりとする意識の中、まだホテルの制服のままだった事に気が付き、着替える。
 またソファーに凭れ掛かると、テレビに視線が行き、無意識のうちにリモコンを手に取り、電源ボタンを押していた。
 すると、深夜番組のニュースが流れていた。見覚えのある建物に目が釘付けになる。
 その時、部屋のチャイムが鳴った。
 慌てて起き上がると、部屋の明かりを灯し、ドアの前に立つ。
「涼太、起きてるか?」
 カールの、アルトボイスより少し高めの声がした。
「うん、起きてる。今、開けるよ」
 ドアを開けると、カールは綺麗な金髪のセミロングの髪を揺らしながら、少し重たそうに、食べ物が入っているであろうボックスを両手に抱えていた。
 俺は片手を差し出し、それを受け取ろうと声を掛ける。
「それ、貸して? 持つから……って、あれ? リチャードは?」
「ああ、今来るよ。ちょっとここ開けて置いて?」
「うん、分かった」
 ドアの向こうに、今日隼人たちが泊まる予定だった部屋が見える。
 現場検証が済んだのか、黄色い《キープアウト》の文字が入ったテープは外されていた。
 俺がその部屋を、じっと見つめている事に気が付いたカールは、気を使った様子で俯き加減に話し掛ける。
「……涼太、大変だったな。リチャードから話は聞いたよ」
 俺は首を横に振った。そしてカールに頭を下げる。
「ごめん、カール……。一歩間違えば、君の大切な人まで大変な目に遭わせる所だった」
「けど、リチャードは傷一つ無かったよ。終わり良ければ全て良しって言うじゃないか」
 そう言ってカールはボックスを俺に渡し、リチャードと同様に、俺の頭を子供にするみたいに、クシャクシャと撫でた。



               ――to be continued――

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