FC2ブログ

お話倉庫

主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

このページのトップへ

――いつまでも ずっと――<32>

 全部のフォルダを見終わると、警部は俺に問いかける。
「んー、これは……どう言う状況か、説明して貰えるかな?」
 喉の奥が痙攣したようになり、なかなか声が出なかったが、やっとの思いで
「……隼人は、先程の――俺との情事の画像で、吉岡に脅されて、監禁されていたようです……。それで、世話役として居た男が、吉岡にこの映像を送っていたようです」
 警部は傍にあったティッシュの箱を、俺に手渡しながらまた質問した。
「なるほど、脅されていた、と。するとこの映像の男性、ハヤトさんは、同性愛者である事を知られるのが嫌で、弱みを握られた彼は拘束されていた、と言う事になるのか?」
「違います。俺を庇っていたんです……。俺の会社に、最初に流れたあの映像を流すと、吉岡に脅されていたようです。それに言う事を聞かなければ、俺を売るとも……」
 あまりにも卑怯な吉岡のやり方に、憤りを感じずにはいられなかった。
 頻回に俺との接触を図ってきたのは、この為だったのかと思うと、今はもう居ない吉岡ではあるが、憎悪が増す。
 しかしそれ以上に、吉岡の行動に気が付かずに、協力者などと呑気に構えていた俺自身への不甲斐なさに、消えてしまいたくなった。
「ふむ、なるほど……」
 警部は一旦、席を立つとUSBメモリを抜き、部下に手渡しながら「で、彼は、君といる時も薬を使っていたのかね?」と、パソコンの画面に視線を移した。
「いいえ! 彼はそんな事してません!!」
 俺が怒鳴るように言うと、警部は肩を竦ませて「それは、失礼」と、片眉を上げて首を傾げた。
「隼人は、かなり腕の立つ人物でした。彼が喧嘩で負けた所を、見た事が有りません。これは俺の憶測ですが、そんな彼に抵抗されない様に、吉岡が薬を盛ったのだと思います。それで常習性が出来てしまった隼人に、定期的にこうして、打っていたんじゃないでしょうか? 薬が切れると正気に戻り、逃げ出す可能性だってありますから……」
「ふむ……、それでそのヨシオカという人物は、この彼とはどんな関係だったのかね?」
「会社の上司です。最初のUSBに入っていたものは、会社の資料だと思うのですが、それは吉岡が言うには、開発途中の商品だったか……。その資料を他の会社に流してると、隼人はそのスパイの容疑を掛けられ、会社を退職させられました。しかし、今のところ事実は分かりません。でも、それはきっと吉岡がした事だと、俺は思っています」
「何を根拠に?」
「吉岡も同性愛者でした。俺と隼人の仲を引き裂くために、全て仕組んだ事だと……。自分がした事を隼人に押し付けて、会社に戻れなくなるように……。そうやって隼人の行き場所を無くして、自分の手から逃げ出さない様にし、俺を薬漬けにして売り飛ばすと脅して、無理やり言う事聞かせて……」

 話をしているうちに、涙が後から後から溢れ出して来た。
 俺は例えこの画像が会社に流れたとしても、逃げ出さなかっただろう。
 関係が知れたとしても罵りたい奴は罵れば良い、そう思っていた。
 なのに、隼人は俺の名声を気にして庇ったばかりに、こんな目に遭わせてしまった……。
 きちんと隼人に告げていなかった自分が情けなくなり、目の前が霞んで見えなくなる。
 警部は溜息を吐くと「なるほど、男同士の痴情の縺れ、か」と、呟き、席を立った。
 その少し呆れたような物言いに、俺は嘆かわしくなる。
 しかし、こちらでもやはり、同性愛者は異端者なのだ、と、いう事実を突きつけられた気がして沈鬱になった。 
 そんな俺の様子など気にも留めず、警部は大きく伸びをして「すまなかったね君。ありがとう、協力感謝します」と、取調べの後の決まり文句を言った。
 それに俺が返事をせずにいると、さすがにマズイとでも思ったのか、慌てて
「それでは病院まで送らせていただきます。また話を伺うかも知れませんが、今日はこれで帰っても宜しいですよ」と、作り笑いをしながら言った。
 俺は、悔しさに駆られながらも「……お願いします」と、返答する。
 本当は、このままタクシーで行きたい所だが、余計な出費は控えたかった。
 隼人がこんな状態の今、いつまで滞在するか分からないからだ。
 入院して医療費がどれ位嵩むのか、保険などはどうなるのか、その辺も分からない。

 俺は、取調室から出ると直ぐに、携帯の電源をオンにした。
 途端に着信音が鳴り、通話ボタンを押す。
「はい……うん……うん。わかった。ありがとう柳瀬。今から行くよ」
 日本語は分からない、と、言った様子で、警部は首を傾げながら
「一応、私どもの病院に行くように言ってあったが、変更がありましたかね?」
「セントルイス・ホスピタルって、そうなんですか?」
「そうそう。事件が絡んでいる時は、必ずそちらに向かうようになっているんですよ」
「そうですか、それでは宜しくお願いします」
「ああ。君の恋人が無事だと良いな」
「……ええ」
 何時間も拘束しておいて言う台詞か! と、いささか頭に来たものの、一刻も早く隼人に逢いたかった俺は、我慢して送って貰う事にした。
 パトカーの中で、まだ容疑が晴れていないので、一応連絡先を教えて欲しいと言われ、携帯電話の番号を、赤外線で送る。
 自分に容疑が掛かっている事よりも、隼人の容態の方が気掛かりだった。
 車窓から流れる景色を眺めながら、俺はずっと隼人の無事を祈っていた。




                      ――to be continued――


毎日お昼に更新☆気に入って頂けたらポチお願いします^^*
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

にほんブログ村 小説ブログ BL長編小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト
[PR]

[PR]

このページのトップへ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。