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主に長編BL小説置き場です。BLの意味が分らない、または嫌悪感がある方は速やかにブラウザバックでお願いします。

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――いつまでも ずっと――<30>

 俺も後を追おうと駆け出した時だった。
「君、少し話を聞きたいのだがね?」
 肩を掴まれ振り返る。制服からして、どうやら警察の人のようだった。
「でも隼人が心配で……せめて、病院に運ばれたのを確認してからでも」
「しかしだね、事件全貌を知っているのは、君だろう?」
「それは……でも俺は、彼の家族でして……」
 俺が困惑しているのを見た柳瀬が、その医者に話の内容を訳して貰っているようだった。
 話を理解したのだろう、柳瀬は、俺の肩を叩くと日本語で「ギダさん、携帯の番号変わって無いっすよね?」と、聞いてきた。
「え? ああ……」
「じゃあオレ、直哉に付いて病院に行くんで、後で場所教えますよ」
 警察官は怪訝そうな顔で伺っている。
 これ以上渋ると、容疑者にされかねない。
「……悪いな。助かるよ、柳瀬」
「いえ、それじゃ後で」
 以前のようにニッと屈託の無い笑顔を浮かべると、柳瀬は医者の後を、ぱたぱたと駆け足で追い、その場を後にした。
 ふと目の端に人影が映り、顔を上げると、リチャードが俺に近寄って来ていた。
「……涼太、ごめんなさい。一瞬でも、君の事を疑ってしまった……」
「そんな、謝らないで下さい……。謝るのは俺の方だ。君の大切なホテルで、こんな事件を起こして、君を危険な目に遭わせてしまって……」
 俺はリチャードに頭を下げた。しかし、リチャードは首を横に振る。
「そんなのは大丈夫。君達が無事で何よりだよ。カールに怒られなくて済むね」
 ニコっと微笑み、リチャードは俺の肩をポンポンと叩いた。
 噂をすれば何とやらで、そこに勢い良くカールが飛び込んできた。
「リチャード、涼太!! これは一体!?」
 カールは、検視官達が現場検証をしている様子を見て、青ざめる。
「カール、後で詳しく話すよ。私達はどうやら取調べを受けなくてはいけない様だから」
 リチャードは答えながら視線を移すと、警察官は待ちくたびれたような表情をしていた。
「もう、話は済んだかね? 私達も暇じゃないんでね」
 厭味を一通り言うと、警察官は「では、話を聞かせて頂きましょうか」と、ホテルの外に出るようにと、俺達を指示した。



 警官に連れられ外に出ると、用意されたパトカーへと促される。
 俺はリチャードと一緒に乗り込み、警察へと連れて行かれた。
 個室に案内されると、二人組の刑事らしき人に交互に色々と尋問された。
 質問内容からすると、どうも俺に容疑が掛かっているようだった。
 そして、数時間が経過した頃だった。ノックの音がして振り返る。
「警部、検証していただきたい品が……」
 一人の若い婦警が、腹の出ている警部とやらに耳打ちし、USBメモリを何個か手渡すと、俺をチラリと見て、意味ありげな笑みを浮かべ去って行った。
 婦警の態度が気になりつつ、警部の手にしているUSBに視線を移す。
 そのUSBを手で玩びながら、警部は「どうも、日本語らしくてね、君に翻訳して貰いたいんだが」と、俺を見た。
「それは構いませんけれど……。あの、リチャードさんはまだ居るんですか?」
「ん? ああ、彼にはもう帰って頂いたよ。特に情報になるような事は、知らなかったみたいだったからね」
 警部の言葉に内心ホッとする。迷惑を掛けてしまった上に、事件の容疑が掛けられてしまっては、協力してくれたカールに申し訳なさ過ぎる。
 警部はそれとなくジェスチャーして、部下らしき人に視線を投げた。
それに応じて中肉中背の男が、ノートパソコンを持ち出すとUSBメモリを挿し込み、フォルダーを開いた。
 すると企業の内容だろうか、文字がびっしりと並んでいる。
 これには見覚えがあった。
 吉岡を自宅マンションに招待した時に、隼人の財布に混じって入っていたものだ。
 前と同じく顧客の名前らしきものが書いてある。
 もし、あの時の吉岡の言葉が本当ならば、間違いなく企業スパイ関係のものだろう。
「……これは、人の名前が書いてあるとだけしか……俺にはハッキリとは分かりません。会社に問い合わせたほうが、良いと思います」
「そうか、それじゃこちらも見てみようか」
 そう言うと、もうひとつのUSBを挿し込み、同じようにフォルダを開く。
 俺はそれを見た瞬間、固まった。
(どうしてこんなものがっ……!!)
 部下は眉間に皺を寄せて、俺の方を見る。
 それは……。
 ――俺と隼人の情事の最中の映像だった。

 俺が視線を背け俯くと、警部は気を利かせて再生を止める。
「い、いや、すまなかったね……はは、私も一応仕事だから見ない訳には行かなくてね」
 混乱する意識の中、どう答えて良いか分からなかった。
 しかし、音声が入ってないのがせめてもの救いだったが、恥ずかしさで身が焦れた。
 ふと、先程、婦警が意味ありげな笑みを浮かべのは、これのせいだったのか、と思ったら、顔から火が出るような羞恥心に見舞われ、更に動けなくなる。
「もしかしたら、次のやつもそうかも知れないけれど、すまないが……。自殺したヨシオカという人物が所有していたものでね。これが証拠になれば君だって解放されるんだ。一緒に見てくれるかね?」
 その言い方は半ば強制的で、俺に選ぶ権利はないんだ、という感じであった。
 だがしかし、隼人の許に一刻も早く行きたかった俺は、仕方なく「……ええ」と、返事をすると、間を空けずに次のも容赦無く再生された。
 俯き加減でそれを眺めると、見覚えのある部屋が映し出される。
 それは俺のマンションにある、隼人の部屋だった。
 俺が掃除をしている様(さま)や、寝る時の様子などが、ただ黙々と流れていた。
 その映像には、一切、隼人の姿は映し出されていない。隼人の部屋なのに、だ。
 繰り返し同じような画面が映るのを見ながら俺は、ある時期と一致する事に気が付いた。
 吉岡が、最初にマンションを訪れた時だ。
 俺はあの時、僅かに席を外した。その時に隠しカメラでも仕掛けたのだろう。
 そして、その前の情事の映像は、何らかの形で盗撮されたに違いない。
 フォルダーには、それぞれの日付が記されており、最近のものまであった。
「これは、君の部屋のようだね?」
「ええ……。多分、盗撮されていたんだと思います」
 警部は日付が新しくなる順に再生しているようだったが、そのフォルダーには俺しか映っていなく、似たような場面しか出て来なかった。
 違う事と言えば、リビングやキッチン、本当の俺の部屋が映し出されていた位だ。
 吉岡は俺の自宅に訪れる度、隠しカメラを仕掛けて行ったのだろう。
 切に油断ならない相手だったと、背筋がゾッと寒くなった。
 暫く画面を眺めていた警部だったが、飽きたのだろうか、短く溜息を漏らした。
「なるほどね……。じゃあ別のも見てみよう」
 マウスポインタを違う名前のフォルダーに合わせ、カチリと押すとフォルダーが開いた。



                     ――to be continued――

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